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2010年1月14日 (木)

今後の過払い金返還請求データは利用できるのか?

コード71の情報は、内閣総理大臣の指定する信用情報機関では、扱えなくなるようであるが、当然個別企業では、既に過払い金返還請求を受けたかどうかを明確にする目的、及び貸金業法19条に定める帳簿への記載事項への対応として、貸付契約の消滅した日から少なくとも10年間保有を義務つけられる。

この情報は、少なくとも当該企業においては、支払能力を判定する情報として有効とされる場合は、引き続き利用されることであろう。貸金業法においては、信用情報の取扱の規定はあるが、個社の保有する情報の取扱については安全管理に関する監督指針や金融分野ガイドラインでの規定しかなく、帳簿への保存庫目となる以上は、情報利用を禁止する根拠がないと思われる。

次に、グループ企業内の複数の貸金業者で信用情報を共同利用している場合である。

金融庁の個人情報ガイドラインでは、13条第三者提供の制限で本人の同意を得たうえでの信用情報の提供を原則とし、個人情報保護法23条2項で可能とされるいわゆるオプトアウト方式は、利用を禁じられている。

しかし、GL13条6項で個人データの「共同利用」は法律と同様に認められ、信用情報についての排除はされていない。したがって、従来から適切な方法で共同利用している場合は、個別利用の場合と同様に、今後も継続して利用は可能であろう。

問題は、自社及び自社グループ以外の返還請求の有無の調査である。

大胆な対応方法としては、申込時点で顧客から「過払い金返還請求の経歴がないこと」を申告させることが考えられる。

顧客に対する適正な与信を行なうために必要であると考える貸金業者は、実施するかもしれない。金利の引き下げにより、リスク許容度が下がったため、健全経営を維持するためには、従来以上に顧客との情報の非対称性をできる限りなくすため、銀行並みに情報を収集する必要があるからだ。

履歴有の申告をもって、直ちに貸付謝絶するためではなく、より深い調査、例えば、他の債務の返済との兼ね合い、支払の計画性、資金使途などを通常より時間をかけて行なうことのきっかけとすることが考えられる。このような理由であれば(実態が伴うものであることは当然の前提であリ、利用目的の公表も行なう必要があるが)、その収集・利用には問題がないと考えても良いのではないか。

その根拠として、金融庁が認定した貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則第21条が挙げられる。

その第1項では、貸金業者について返済能力を調査することが①資金需要者等が収支との均衡を踏まえた健全な返済計画に基づく貸付の契約を締結することを可能とする観点②資金需要者等が多重債務に陥ることを防止する観点から極めて重要であることに鑑み(中略)この規則の規定に従い適正な貸付の契約が締結されるように努めなければならないとされている。そして、第2項では、この規則の規定に従い適正な貸付の契約が締結されるように審査基準を設けることとされている。

したがって、信用情報機関から提供を受ける借入件数、残高情報や遅延情報など、自社における過去の契約状況や支払の組み直し、遅延の有無、保証人代払いの有無などに加えて、年収証明書の提出や銀行などからの借入の有無、過去に契約見直し(過払い請求をしたかどうか)の有無の申告が、適正な貸付の契約が締結されるのに必要であると個別企業が判断して、適切に審査基準に組み込んであれば、問題とされることはないのではないかと思われる。

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受信: 2010年1月18日 (月) 19時17分

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