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2010年1月26日 (火)

立法事実を欠いた法改正であったことが明らかに?

貸金業制度に関するPTの中間報告が公表された。

http://www.fsa.go.jp/singi/seisaku/seisaku/siryou/20100122/2-4.pdf

内容は、今までの参考人の意見をまとめたものであるが、法改正前の議論が如何に大雑把、かつ事実をきちんと把握したり、分析しないで勢いだけで作ったのかがわかるようだ。

最大の問題になっている総量規制の根拠が、

消費者金融利用者の大部分が年収600 万円以下の世帯であるとの実態調査、及び600 万円以下の世帯の収入から支出を引いた額、すなわち返済に充てることができる額が5%であるという総務省家計調査をもとに、金利18%・元利均等償還・返済期間3年という前提を置いて計算すると、完済できる額が年収の3分の1

と記載されているが、返済に充てられる額が15%って、1人住まいも4人家族も一緒くたで明らかにおかしいと思わないのだろうか?

金利も18%が前提だが、グループ会社金融なら3%未満で借りられるし、5%台で借りれる人もいる。なぜもっと払える人も一緒になって制限を受けなければならないのか?

例えば、割賦販売法では、 年間の支払可能見込額を年収ー生活維持費ー他のクレジットの年間支払予定額で算出している。生活維持費は、統計に基づいて以下の通りとされている。

住宅ローンがある場合(借家の場合)

 1人世帯116万円、2人世帯177万円 3人世帯209万円 4人以上世帯240万円

住宅ローンなし(借家でも自己負担なし)

 1人世帯90万円、2人世帯136万円 3人世帯169万円 4人以上世帯200万円

したがって、年収600万円で借家1人住まいなら、年間486万円の支払能力があることになる。4人家族でも360万円である。もちろん3年間を考えるなら、この倍額以上の利用が可能なのである。

他の支払などを考えると単純にこの通り与信できるわけではない。しかし、最も支払能力がない人に合わせて、支払能力がある人も、リスクが低い人もごっちゃにして、年収の3分の1以下に貸付を制限するというのがなぜ許されるのか、考えてもらう必要がある。

また、6P以降は個別意見が掲載されているが、事務局の各政務官の方々は、以下のような内容について、もっと突っ込んだ議論をされるべきではないか。

例えば、審議会委員でもあった某著名経済学者の発言であるが、「消費者信用市場のような質の低い市場」については今回の規制はやむをえなかったんだと述べられているが、法改正時点から既に3年を経過し、貸金業者の大幅な減少、金利の低下、悪質行為の激減(ヤミ金・無登録業者を除く)したといえる現在でもまだ「質が低い市場」で「本来は望ましい手立てでない上限金利規制、総量規制などの統制経済的なやり方」を導入すべきと思っておられるかどうか。

さらに、改正審議の際に厳しい金利規制(20%)があるとされ、出資法引き下げの根拠となったと思われるフランス・ドイツの金利規制には、日本と異なり、融資の際の費用・手数料などのコストがかかり、フランスの典型的融資の場合は事実上47.9%の金利負担になっているという事実がなぜ、審議当時には伏せられていたのか?

また、高金利のアメリカのペイデーローンについて、州が禁止した以降自己破産率の増加、貸し手に対する苦情件数の増加、低所得者層の他の金融サービスに支払う費用総額画像化するなど反作用が起きているとのニューヨーク州連邦銀行の調査結果をどう考えるか。

もし当時、フランス、ドイツ、アメリカに於けるその事実が明らかになっていたら、果たして出資法金利引下げの根拠になりえたか?等々確認すべきことは多いと思う。

そうすることによって、問題点は明らかになってくると思われる。

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