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2010年1月17日 (日)

法の支配 公平かつ透明性のある法執行へ それはすでに数年前から

15日金曜日の夜以降、政治資金規正法の記載をめぐって現職衆議院議員や某政党幹事長の秘書や元秘書が逮捕され、テレビではバンバン特集が組まれています。この問題をめぐっては、マスコミの対応もわかれ、政治家とともに評論家でも検察側の対応にやりすぎとの批判も散見されます。

中身は知らないので、内容に関してコメントするつもりはありません。 が、今日のサンデープロジェクトに出演されていた元特捜部長の宗像教授が「日本歯科医師会側から自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件」以降、贈収賄事件は立件が難しいので、政治資金規正法違反で「厳格対応」するという方向性に変わってきているという趣旨を述べているのを聞いて改めて感じたことを少しコメントさせてもらうこととしたい。

確かに、この事件では、当時橋本派元会長代理の村岡兼造元官房長官が贈収賄ではなく、政治資金規正法の虚偽記載で在宅起訴され、有罪が確定している。

いっぽう、宗像教授は、ロッキード事件などの時も政治資金の流れに不明確な面があり、政治資金規正法での違反もあったが当時は、立件していなかったという。

そういえば、今日の読売オンラインの記事では、

 「このような形式的なミスについては、今までほとんどのケースで報告の修正、訂正で許されてきた」。今回の土地問題に関する検察の捜査を、小沢氏はこう批判した。

との記述がある。

しかし、この番組の後に見た放送大学「裁判の法と手続き」最終回では(録画は2年以上前であるが)司法制度改革の進展と21世紀の司法のあり方に関する関係者との対談で今後の司法の在り方として、

「行政による法執行の解釈のあいまいさ」などから「公正で透明なルールに基づく」執行に変化し、「法の支配による自由で公正な社会実現が期待される。」ということが再三述べられていた。

今回の一連の騒動には、まさにこのような司法や検察の変化に対する認識の違いが浮かび上がってくるように感じられた。

この20年前後を振り返ってみると、

一定の関係者利益保護の側面があるが、直接消費者には被害があるか見えにくく、消費者の利益にも配慮した側面もあるような業態別の料金表(弁護士報酬規定も含む)や業界統一の約款(銀行取引約定書なども含む)、業態救済的なカルテルなども含めて、業界が行政の一定の関与の中で作ってきた自主的なルールはほとんど否定され、これらは、業法と監督指針の下で第三者(おもに司法関係者や消費者代表)が関与しながら策定された自主規制ルールへと変化している。

消費者問題や産業界の取り組みに関して「行政の裁量的運用」「行政解釈」の批判があったからである。そして、現在は消費者契約法と消費者庁により、行政の裁量的関与は許されず、裁判所の管理の下で厳格な解釈が行われ、さらに政権党の行政の政治関与排除のもとで、消費者・国民の目を意識したより厳格な法運用に変化しているのは御承知のとおりであります。

立法の関係でもそうです。端的なのが、貸金業規制法でしょう。昭和40年代後半には、利息制限法を超える利息の受領は、元本に充当し、充当すべきものがなければ返還すべきという確立していた判例法理があったのに、国会議員が任意に充当できるルールを作りなおしてしまった。貸金業者の目に余る取り立てを禁止する側面が大きく、大きな効果を上げたが、司法関係者は利息制限法超過貸金業者を温存する法制度が公正や正義にかけるとして、この法律を厳格解釈をして、法律の規定を実質無効化してしまったのです。

「日本歯科医師会側から自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件」では、贈収賄の側面があったがそれが立証できなかったため、政治資金規正法の厳格適用に大きく舵を切っていたといえます。

したがって、 「このような形式的なミスについては、今までほとんどのケースで報告の修正、訂正で許されてきた」といくらいっても、違反であることは事実ですから、検察の立場としては、本件の立件は既定路線なのでしょう。

これで行政、立法関係、そして政治家まで、厳格な法の支配からは免れる聖域はなくなり、司法制度改革推進者の目指す民主主義の確立に一歩近づいたと言えるのではないでしょうか。

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