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2010年6月12日 (土)

貸金業法の内閣府令 例外貸付を大幅に見直し

貸金業法施行のちょうど1週間前に当たる6月11日に金融庁は、内閣府令の改正内容を公表した。

先月パブリックコメント手続きに付された改正内容案では、総量規制により、個人向けには、年収の3分の一を超える貸し付け契約が禁止(「個人過剰貸し付けの禁止」という)されるが、適用除外の契約として、内閣府令10条の21に「個人過剰貸し付け契約から除かれる契約」(通称「適用除外契約」)として住宅ローンや自動車購入ローン、高額療養費の借り入れ、手形割引などが認められているが、これに追加が予定されていた。

追加が認められたのは、内閣府令10条の23の「個人顧客の利益の保護に支障が生ずることがない契約(通称「例外貸付」)に記載されていたもののうち、有価証券の時価の範囲内での担保貸し付け、自己の居宅以外の不動産担保の価格内の貸付、売却予定不動産で弁済予定の貸付と今回新たに認められた特定非営利法人の特定貸付である。

しかし、今回の改正内容を見てみると、内閣府令10条の23の「例外貸付」のほうに、大幅に追加的な見直しがなされている。

まず、貸付の額が10万円以内(他社も含む)で3月以内に返済することになる「特定緊急貸付」というのが新設された。これは海外で急に現金が必要になった場合の海外キャッシングや葬儀費用などについて、小額短期で総量規制の例外貸付が認められるものである。

また、預金金融機関からの正規貸し付けにかかるつなぎとして行う貸付も新設により、認められた。

パブコメ意見を受けて、政令にこのような新たな項目が追加がなされるのは極めて異例ではないかと思われる。金融庁のプロジェクトチームの報告書や10の方策が公表されて以降も完全施行以後の辞退を懸念する声がマスコミでも多数取り上げられ、昨年末からの金融庁のヒアリングにおける最終回の「貸金利用者の声」が一部反映されたのではないかと思われる。

特に、個人事業者について定期的な収入の判断にあたっては、内閣府令がさらに見直され10条の23第1項第4号イでは、「事業計画、収支計画、及び資金計画」について、貸付額が100万円未満の場合は、状況調査で行えるようになるなど簡素化、スピードアップが可能な仕組みに見直されていることに表れているようだ。

惜しむらくは、このような見直しは、最初の5月のパブコメ時点で明確化してもらいたかったと言いたいのが、貸金業者や信用情報機関、利用者の立場からの意見なのではないか。

なぜなら、特定緊急貸付については、海外キャッシングその他で10万円まではその利用が可能であるが、内閣府令10条の23第2項2号の2において、10万を超えていないか「緊急個人顧客合算額」を調査するため、信用情報機関に照会した記録の保存、海外キャッシングに関する書面または葬儀費用等の支払いの領収書との資金使途確認書面の保存が必要だからである。

したがって、信用情報機関も「例外貸付」の報告対応はできているが、「緊急貸付」についてはさらに別フラグを立てて回答する必要があり、個別のカード会社では顧客への告知や手続きの整備に時間が必要である。そうであれば、このような制度がもうけられても、システム対応が完了するまでは、利用者は利用できないという事態が生じる可能性が高いのである。

このままでは、「法律では可能なのになぜ対応できないのだ」とカード会社などが非難されかねない。3年半以上も前に成立している法律なのに完全施行日の1週間前に最終的な府令改正を公表するということは、システム対応と利用者にどのような影響があるのか全く考えられていないといっても過言ではないのではないか。

「規制を緩めのだから、いいじゃないか」などとは、実質規制法である本法の施行にあたっては言うことができないと思う。

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コメント

本当におっしゃる通りだと思います。施行目前でこんなにバタバタ決められても対応が難しいですね。葬儀費用?何をもってそれを顧客に証明して貰うんでしょうか…。自己申告でいいんですかね??
それより、未だに完全施行から必要になる、事前交付書面と、新しい法律に対応した借用書すら手元にありません。協会で販売すらされていません。事前交付書面にいたっては、雛形は作ろうという話だが、販売は検討中です。と言われました。もう日にちが無いんですけど…検討する順番がおかしいと思います。

投稿: taiyo | 2010年6月12日 (土) 23時55分

海外緊急融資も、葬儀の費用もその証拠書面の保存が必要とされています。
潜脱防止ということですが、「海外において行われたことを疎明する書面」やお葬式の「領収書その他資金の使途を確認することができる書面」を最終弁済期まで保存する必要があります。内閣府令10条の23第2項2の2号ロ(1)(2)参照。

事前交付書面や契約時の交付書面(借用書)は、リボ以外であればさほど難しくないので、自社対応できるのではないでしょうか。

投稿: 品川のよっちゃん | 2010年6月13日 (日) 19時03分

回答を有難うございました。
なるほど、やはり領収証とかなんですね…。先日、利用目的に医療費と書かれた方から相談をうけました。緊急の医療費は総量規制に関係ないから、領収証はあるかと聞けば「その医療費が払えないから相談しているんだ」と叱られてしまいました…。請求書は…と切り出すと「お金が足りないのわかってて病院行く奴いないだろ」とも言われました。実務だと中々難しいものです。
借用書はなんとかなるかもですが、事前交付書面は控えを顧客に渡すタイプ(転写紙)にするかどうかをまだ検討中らしいです。これになると厳しいですね。印刷所とかに依頼しなおさないといけなくなります。一応説明する用の一枚紙はなんとか用意してますが…ただ協会が販売してくれた方が有り難いのは事実です。コンプライアンスに不安がありますし、コストがかかりすぎます。

投稿: taiyo | 2010年6月14日 (月) 00時12分

緊急貸付もつなぎ融資も、「指定信用情報機関に識別して情報登録ができる」ことが条件だそうです。情報登録できないのに勝手にやっちゃだめよ、なので、当分は運用不可能でしょう。

そういうことも、きちんと利用者に広報していただきたいですね。

投稿: kiko | 2010年6月15日 (火) 11時18分

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