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2010年12月 2日 (木)

サービサー法違反? 武富士債権の債権回収

現在会社更生法手続き中の武富士が過去に債権譲渡した債権を債権管理回収業の許可がなく回収している会社があるらしいことがわかった。⇒ 週刊金曜日の記事

記者とのやり取りは、以下の通り

一一月一二日、筆者は大阪市淀川区にある富士クレジットの「回収センター」を訪れた。

「武富士の債権も回収しているんですね」

 応対した高原健一・営業本部課長代理に質問したところ、高原課長代理はそれを認めたうえで「通常の回収業務を行なっています。それ以上は本社に聞いてほしい」と答えた。疲労した様子が窺えた。

 大阪市中央区の富士クレジット本社に足を運び、峠秀岳・お客様相談室長に尋ねた。

――武富士の債権を回収しているのですか。

 武富士とウチは関係ありません。

――過払い分も含めて武富士から債権を買っていることは債権譲渡登記からも明らかですが。

 これ以上は答えられません。

債権譲渡自体は、譲渡禁止の特約のない限り許されているが、「権利の実現」目的での債権譲渡は弁護士法で誰に対しても禁止されている。(もちろん弁護士もできない)

そして、サービサー法で定められた特定金銭債権についてのみ、法務省の許可を得たサービサー会社だけが譲受可能である。

本件が債権の実現(債権回収)を目的としての債権譲渡である場合、弁護士法違反に当たり、貸金債権は特定金銭債権なのでサービサー法違反にも該当し、いずれも刑事罰の対象となる。今後の調査が待たれる。

(補足)12月2日記

弁護士法の関係から、誤解のないよう少し補足しておく。

まず、弁護士法73条の譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止の規定として、

「何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、
その権利の実行をすることを業とすることができない」との規定がある。この規定は、①自己以外の者の有する債権を ②譲り受けて ③訴訟、調停、和解その他の手段によつて、④債権回収を業とすることを禁じているわけです。

①では、親子会社や株主という関係にあっても適用になります。
②には、無償の譲受や代物弁済により取得したものも含まれます。
③の手段は、例示であって裁判による方法に限定されず、任意の交渉による場合であっても73条違反になります。(以上 高中正彦「弁護士法概説(第3版)」372ページ以下参照。三省堂2006年)

したがって、今回報道の件は、①から③の要件には該当するように思えるので、これを業として行なっているかどうかでしょう。

ただ、①~③(④も)の要件を満たしていても、全てが73条違反になるとは限りません。つまり、弁護士法73条の禁止する行為と区別される「正当な行為」であれば違法性が阻却される場合があります。(注)

判例でも「権利の譲受けの方法、態様、権利を実行する者の業務内容や実態からみて、国民経済の法律生活上の利益に対する弊害が生じるおそれがなく、社会的に正当な業務の範囲内にあると認められる場合には、刑法35条の正当業務範囲に該当するものとして、違法性がなく、73条違反の罪は成立しないと解するべきである」との最高裁平成14年1月22日判決があります。具体的には、通常債権のファクタリング業務、手形の割引などが該当します。ただこの場合も既に不良債権化した場合は、正当業務といえない可能性が高まります。しかし、不良債権の場合は全て73条違反と言うとそうでもありません。例えば、合併や事業再構築に伴い、不良債権を含めた債権を別途設立した会社に移管して債権回収する場合やバルクセール(一括売却)は、違法性がないと解釈される可能性が高いといえます。

これらのスキームについては、個別に73条に抵触しないか弁護士意見等を取得して対応されているものと思われる。

今回の案件で考えられるのは、バルクセールであるが、譲渡人の武富士サイドでは、当然弁護士法と貸金業法24条第1項や第3項の問題等は、検討はなされているものと考える。しかし、譲受人側が武富士との関係を否認したり、ノーコメントなのはいただけない。適切なバルクセールであれば、73条に抵触せず、弁護士法73条やサービサー法違反の問題にはならないのであるから、堂々とその内容を説明すべきである。

それがなされていないので、何か別の事情があるのではないか、その点を考えた次第である。

(注)小野傑「債権回収業に関する特別措置法(いわゆるサービサー法)の概要と関連する法律問題」ジュリスト1151号68ページ。1999年

(追記その2)12月17日

その後本件に関し、3人の方から情報をいただいたが、その内容は、ほぼ共通している。話を総合すると、本件の債権譲渡は、譲受人も登録貸金業者であり、契約上の地位の譲渡を伴う権利移転のようなので、正当業務の範囲に属すると考えられる。

記事では、債権回収の局面がことさら強調されているが、譲渡後の総量規制や信用状態の変動により、貸付の継続ができないケースが多発していることに起因するようであり、筆者が引用した記事にはその点についての記載がない。調査できなかったのか、あえて伏せているのか、このあたりも興味深い。

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コメント

2015年11月5日富士クレジットに差し押さえされ困ってました。この記事を読み今まで裁判起こされもしょうがないと思ってましたが富士クレは違法のことをしてたのだとわかりましました。債務整理していると伝えたらしなくなりましたが朝晩必ず家と携帯に電話がかかってきて留守電に電話してあり、家内はかなりまいってました。どのような対応したらよいか。わかってることありましたら教えてください。

投稿: 川村寛一 | 2015年11月 6日 (金) 11時16分

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