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2011年1月31日 (月)

2009年米クレジットカード法と国内リボシステムの対応

サブプライム問題、リーマンショックに対応してアメリカでは、ウォール街の改革法=ドット・フランク法が制定され、順次施行段階に入っているが、これに関連して制定されたクレジットカードの影響が「月刊消費者信用2月号」に掲載されているが、この法律の規制のわが国への影響をクレジットシステムの違いの観点からすこしコメントしたい。

2009年クレジットカード法は、正式名称をcredit card accountabiliity responsibility and disclosure act of 2009といい、略称credit card act of 2009という。正式には、「クレジットカードの説明責任と情報開示についての2009年法」とでも訳すのであろうが、どっと・フランク法との関係でクレジットカード規制改革法と呼ばれることもある。

ここでは、2009年クレジットカード法とよぶものとする。

クレジット関連のアメリカの法律では、消費者信用保護法典として、各章に貸付時のtruth in lending act(貸付真実法)、回収時のfair debt collection practice act (公正債権回収法),審査時のfair cedit reporting act(公正信用報告法) などがあるが、今回は、貸付真実法を中心にクレジット利用者保護の観点から、追加や修正がおこなわれている。

具体的には金利引上げ時の45日以上前の通知等の要件の追加、過去取引への引上げの不適用、会員からの支払は高いものから順次充当すべきこと、毎月同じ日に支払日を設定し、郵便で支払を受取るときは、休日の場合を含んで翌営業日に遅らせてはならないこと、契約の一方的変更の禁止などの追加規定を設けているようである。

英文なのでまだ細かく読めていないが、インターネットでの契約の場合の取引条件などの書面交付、信用レポートによる不正なマーケティングの禁止、未成年へのカードの契約の制限、カード契約情報の目的外利用の禁止、などの規定も見られる。(これらはわが国では既に対応済といえる?)

細かく、貸付真実法(消費者信用法全体)と付き合わせて、修正内容をまだ見ていないので、大変荒い把握ではあるが、2009年クレジットカード法を読んだ範囲では、システム面での影響は限定的であるように考える。

その一つの理由が、2009年クレジットカード法の規制が「オープンエンド」のクレジットカードに適用されている点である。「マンスリークリア」と「クローズエンド」(わが国に多い回数分割払い)であれば、そもそも問題にならないからである。

また、最近増加傾向にあるリボルビング払いなど「オープンエンド」方式でも、わが国には割賦販売法でリボルビング方式に関しての充当の規定が昭和59年から30条の5として存在していることも、大きい。

ただし、これは「個別債権関係残存説」に対応してクレジットの取扱を行なっているカード会社に限ったことである。これらの会社では、手数料の引き上げや引き下げをクローズエンド方式と同様に個別契約単位で行ない、返済金の充当も高利率分から充当しているからである。(貸金の準消費貸借方式でクレジットも対応している場合は、システム変更付加が大きく、まさしく月刊消費者信用の記事にあるとおり、万一わが国も同じ方向になるとシステム変更の負荷が大きいのであろう)

なお、インターチェンジフィーの制限や請求書の発送タイミングや手数料との引き上げなどの方法については実質上影響があるかもしれない。

このうち、手数料引き上げに関しては、一方的な手数料の引き上げを禁止しているだけで、適法に45日以上前の事前書面の通知やこれを承認しない場合の対応方法などを定めていることは、わが国では「約款に基づく取扱条件の変更」ルールが明確でないので、かえって特別法で明確にすることのきっかけになれば、とも思われる。債権法改正議論に於ける約款の扱いでの懸念があることからことさらである。

わが国では、インターチャージ手数料の意義・性質、相当性については、あまり公に議論されていないが、米では今回デビットカードについて上限制限も設けられるようであり、クレジットカードの手数料引き上げが柔軟に行なわれなくなったことや使いすぎの反省が見られることなどから、アメリカではデビットカードがわが国のマンスリークリアに類するチャージカードとともに、商人及び顧客の支持を得て今後より利用されていく可能性が高いように思われる。

このようなオープンエンド中心のアメリカのクレジットシステムと同じ影響がわが国にも現れるのかどうか、決済システム全体の今後の整備状況ともからんで注目される。

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