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2011年5月21日 (土)

クレジットカードで顧問料の決済が可能で、しかも低額。

最近月額3980円で法律顧問の契約をする事務所が現われているようである。→コチラ

実際に紛争がおきたり、個別の相談を行うと相談料や料金は別途個別に発生するそうであるから、いざという時にすぐに連絡でき、依頼は断られないという安心料というか、保険料みたいなものであろう。

このような制度は弁護士に縁のない人たちにとっては、助かる面もあるのではないかと思う。いろいろ特徴をもった弁護士法人が出てきて、よりよりリーガルサービスを可能な限りリーズナブルな価格で提供されることは期待されるところである。したがって、欲を言うと守秘義務との関係もあるが、どのような種類の案件を解決した例があるかなど得意分野について適切な情報提供をされることを望みたいと思う。

ところで、その広告を見ていたところ気になる部分があった→。「特定商取引法に基づく表記」

そして、お支払方法という欄に以下のように表示がある。

   【クレジットカード】

JCB、VISA、MASTER、AMEX、DINNERS、NICOS、UC
のカード会社で、一括払い、リボ払い、分割払いが可能です。

※セキュリティ上の配慮から、原則としてクレジットカード利用控はお送りしておりません。
   カード会社から送付されますご利用明細をご確認ください。

疑問は、2つである。

一つはこの顧問契約が弁護士法人の行う弁護士法3条1項または30条の5に規定する役務の提供に該当するのであれば、特定商取引法26条1項7号に該当し、特定商取引法の全面適用除外取引に当たるのに、どうしてわざわざ「特定商取引法に基づく表記」となっているのかという点である。

したがって、一般の法律事務以外のサービスが含まれているという認識なのであろうか?もちろん法律の対象外であっても、特定商取引法に準じて契約・サービス内容を詳しく表示することは大歓迎ですが、、。

これと逆なのが第2の疑問である。

割賦販売法では、クレジットを取り扱う販売業者・役務提供事業者(いわゆる「加盟店」)には、取引成立後に書面交付義務が定められている。クレジットカードの場合は、割賦販売法30条の2の3第4項及び施行規則54条第1項に交付すべき書面への記載事項が明記されている。割賦販売法の場合は特定商取引法とは違って、弁護士の行う一般法律事務に関しては適用除外にはなっていない(割賦販売法35条の3の60第1項)。

したがって、分割払いやリボ払いを選択した場合には、役務提供契約のうち、法所定の事項を記載した書面の交付が必要となる。ところが、「クレジット利用控えは原則としてお送りしていません」というのは、そのような交付をしていないと誤解されるのではないかと思われる点である。

もちろん顧問契約書に法律で規定されている内容の記載があり、これが遅滞なく交付されているのであろうから、問題ないと思われるが、第一の対応が良いだけに、なぜあえてこのような誤解されやすい表記をされており、またその理由が「セキュリティの関係」とされているのか疑問に感じた次第である。

ただ私はここでこれらの点で問題だと言っているのではないので誤解しないでほしい。

逆に法律相談料や顧問料の決済にクレジットカードでの支払いを積極的に採用されていることに大いに敬意を払いたいと思っている。

なぜなら、弁護士会では、平成4年にクレジットカード会社と弁護士が加盟店契約を締結することは弁護士法27条などに規定する非弁提携に抵触するとして、弁護士事務所がクレジットカード会社と契約することを認めて来なかった歴史があるのである。

平成20年になって、11月18日付けで日弁連から「弁護士報酬等のクレジットカード決済について」が出され、1回払いについてのみ、弁護士の独自判断で認められるようになってはいるが、クレジットカードの利用ができる弁護士事務所は極めて少数なままである。ましてやこの弁護士法人のように分割払いやリボ払いを認める事務所はもっと少ないといってよいと思われる。

債務整理や自己破産の場合にクレジットカードを使うことは、「詐欺破産」などに該当しかねず、無理であるが、たとえば交通事故や離婚、相続問題などで、一時的にカードを利用して決済することは相談者にとって大変便利である。この事務所のように低廉なリーガルサービスとともに、カード決済を採用する事務所が増え、適正な広告を行ったうえでサービスの質を維持できれば大歓迎ではないか。

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コメント

弁護士会というのはこういう工夫を嫌いますからね。業界のなれないのための団体なので、工夫して集客するところが出てくると、必ず足を引っ張る動きをします。

早く業界団体強制加入を廃止して、監督権を第三者に移すべきです。それでこそ、他のサービス業と同じように市場原理が働いて正常に機能するようになるでしょう。

市場原理が働かないと自由な議論が出てこないのは電力業界と同じです。

投稿: newwind | 2011年6月 5日 (日) 03時05分

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