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2011年9月27日 (火)

全店一括順位方式による差押についての最高裁の判断について

9月20日のメガバンク、郵貯銀行の全支店を対象とした預金差押の申し立てを却下した最高裁決定が債権管理担当者や弁護士の間で話題をよんでいるようである。

私は、この決定について歓迎している。

なぜなら、1000万人を超える会員や数百万規模の加盟店を抱えるカード会社として短期間で差押通知から対象者を特定することの実務上の悩みは共通だからである。

よくある例として、カード加盟店に対する立替金の差押(加盟店契約に基づく立替金請求権の差押)を受けることが多いからである。しかも、今まで差押通知の到達と支払時期が近接していたときに、組み戻し前に支払がなされ、二重払いになった経験は一度や二度ではない。

差し押さえる側は、コンピュータ端末で検索すればすぐ判明すると考えている(預金差押の場合も、全店一括順位方式の肯定論者も同じである)。

しかし、ことは単純ではない。

加盟店契約は、当該対象者と直接の契約がある場合に限らない。例えば、支店・事業部単位の契約もある。グループ企業との共同の契約があったり、展示会用や特定商品についての専用契約があったりする。

また、当該当事者が物品販売業の場合は、その仕入先メーカーの他の取引先とともに、子番加盟店になっていたり、卸業者の子番の時もある。また、その店舗がデパートやショッピングモールに出店しているときは、その子番となっている。インターネットモールでモール業者との契約に含まれるなど、差し押さえの対象となるかどうか契約内容を確認する必要がある。

従って、すぐに特定できないケースも多いのである。

なのに、今まで裁判所は、差押通知が届くとすべての業務を放り出して、最優先で処理しなければ、わずかの差で支払っても、これを有効な弁済と見てくれなかった。

参考  ⇒ 私のブログ記事「かわいそうな第三債務者」

クレジットカード会社の場合、立替サイクルは、1週間程度から1月単位で、その際に数十万から数百万の加盟店に立替を行うことになるので、あらかじめ立替データを作成し、銀行に支払日の数日前に提出している。この中の1件か2件の組み戻しは、他の数万件の立替払いに影響を与えかねない。

他に、速やかに処理できない理由は、「かわいそうな第三債務者」に書いたのでここでは述べないので、そちらを見てほしいが、このように、支払のため資金も、支払のためのデータもそろえて、金融機関に提出済みの場合は、少なくとも前日時点で「弁済済み」と扱ってほしいものである。

今回の判決が、大量な取引データを保有し、本人特定と差押債権の特定が速やかにできない場合に、「弁済ずみとなる時期」「、「第三債務者に人的又は時間的余裕がなく、振込み以来を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がある場合」を見直す一つの契機になればと思うものである。

追記

肝心の判決の掲載を忘れた。→こちら

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