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2011年10月25日 (火)

平成2年2月20日に続く三者間契約の効力に関する重要判決下る!

このところ貸金関係の判例ばかりを扱っていたが、久々に『信用購入あっせん』に関する最高裁判例が出たので紹介する。⇒平成23年10月25日判決全文

事案は、「販売業者の女性販売員と会い,同販売員に勧められて,同日,本件販売業者との間で,指輪等3点(以下「本件商品」という。)を代金合計157万5000円で購入する売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した」がこれは「上記販売員が,長時間話し続け,被上告人の手を握ったりするなどの思わせぶりな言動をしながら,宝飾品の購入を勧め」たうえ、「販売員の仲間数人が集まってきて,威圧的な態度で購入を迫るなどし
たため,被上告人は,帰宅を言い出すことができないまま,本件売買契約を締結す
るに至った。」というものであり、その後平成15年5月から平成17年9月まで支払ったものの10月に解約の申し出を行ったものである。

原審の名古屋高裁では、売買契約を公序良俗違反として無効と認めたうえ、代金を立替払いしていたクレジット会社に既払い金を不当利得として返還を命じていたので、クレジット事業を譲り受けていた会社が上告していたもの。

最高裁は、割賦販売法30条の4の規定が創設的規定とした平成2年2月20日判決を引用したうえ,「個品割賦購入あっせんにおいて,購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に反し無効とされる場合であっても,販売業者とあっせん業者との関係,販売業者の立替払契約締結手続への関与の内容及び程度,販売業者の公序良俗に反する行為についてのあっせん業者の認識の有無及び程度等に照らし,販売業者による公序良俗に反する行為の結果をあっせん業者に帰せしめ,売買契約と一体的に立替払契約についてもその効力を否定することを信義則上相当とする特段の事情があるときでない限り,売買契約と別個の契約である購入者とあっせん業者との間の立替払契約が無効となる余地はないと解するのが相当である。」

として

①販売業者とクレジット会社に資本関係その他の密接な関係があることはうかがわれない。

②クレジット会社は被上告人に直接クレジット契約の申込意思、内容等を確認していること。

③被上告人の異議は、長期間(1年半)約定通り支払って以降のことであること。

④本件クレジット契約以前に他の購入者からの苦情の申し出を受けたことはなかった。

という事実関係の下、『クレジット契約を無効とすべき信義則上の特段の事情に当たる』事実はないとして、売買契約が公序良俗違反であっても、クレジット契約が無効になるとは解されないとして、既払い金の返還を認めなかった。

すでに、割賦販売法では、販売店がクレジット契約にかかる販売契約についての重要事項についての不実告知等による取り消しが可能であれば、クレジット契約の取り消しが認められている。しかし、その取消し理由は、限定されていること、また、クレジット会社の勧誘方法の調査が行われていることから、顧客への確認時点で勧誘方法に対するクレジット会社の問いかけになんら異議を述べないケースなどで本件に類似する紛議は今後も想定しうることから、本判決の判断はクレジット業界にとって意味は大きいと思われる。

なお、この判決で「クレジット加盟店契約がある」というだけで『クレジット契約を無効とするまでの信義則上の特別な事情に当たる』「密接な関係とはいえない」としている点が注目される。

また、本件では、本件クレジット契約までの間、なんらのクレームがクレジット会社に届いていなかったという点が評価されたと思われる。

クレジット業界では、現在新しい割賦販売法の下で加盟店情報交換制度が運用されているが、この制度の効果的な運用により、早期に対応することが各クレジット会社に求められる判決ともいえよう。

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