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2011年12月16日 (金)

インハウスローヤー採用の奨めについて

大手弁護士事務所のブログを所属弁護士の方が輪番で担当なさっているが、標記についての記事があったので、今年の夏のものであるが、ご紹介したい。企業での弁護士採用には、大いに賛同するが、あえて法務経験者としての立場から少しコメントさせていただいた。

ブログでは、インハウス弁護士の効用として、

インハウスローヤーはあらゆる分野において高い専門性を持っているわけではないし、それが期待されているわけでもない。外部のより専門性の高い弁護士のアドバイスを求める必要があるか否かを判断し、必要がある場合には、適切な外部の弁護士を選定し、求めるアドバイスが得られるように的確な指示を出し、アドバイスが得られたらその当否を判断する役割も担っている。こうした役割を果たす上で、外部の弁護士と同じ法律的素養を持つことは極めて重要であり、それも、インハウスローヤーが企業に必要とされる大きな理由の1つといってよいであろう。先の喩えでいえば、外部の弁護士の仕事の「味」が分かる、優れた「舌」を持ったインハウスローヤーを内部に持つことで、企業は「美味しい」成果物を生み出せる外部の弁護士を起用し易くなるわけである。

をあげてある。

しかしこれは、企業の法務部が担ってきた役割ではないのだろうか。「インハウスローヤー」を「法務部」と置き換えて読んでみると納得の行く法務関係者が多いのではないか。

少なくとも、私は20数年間そのような役割を果たしてきたと思う。これができるのは、法務部門の主要メンバーが「社会人経験」+「当該企業の業務の知識」+「当該業界に関する専門的な法律的素養」を有しているからではないかと思う。

先生が、

企業がインハウスローヤーを採用することには十分な理由を見出せるが、具体的に誰を採用するのかという段になると懸念が生じる。

と述べておられることはよく理解できる。しかし、その懸念理由のひとつとして司法修習を終えたばかりの者の「法律的素養」はまったく問題ないことで、採用を促されているが、先の役割を果たすべくインハウスローヤーを採用するには、「社会人経験」+「当該企業の業務の知識」は、新卒での修了者の場合は不足するし、「法律的素養」は一般的には問題ないが、「専門的な法律素養」では、長年当該企業の法務を担当しているものには簡単にはかなわない。(もちろん法務部門であっても数年程度の歴史しかないところでは、そう差がなく、1~2年で簡単に追いつけるとおもわれるが)

何を言いたいかというと、企業は、即戦力としては、「当該業界に関する専門的な法律的素養」を有し、その者に企業法務部員以上の役割を期待して採用する一方、若手で「法律的素養のある者」と考えられる者を当該企業で鍛えて将来法務部員と同等、そしてそれ以上の役割を果たしてもらうことに「賭けて」採用するのだといいたいのである。

企業に入って法務・コンプラ部門をすぐ担当する場合も有るし、メーカーなどのように現業部門を経験した上で「社員として育成」されて、法務部門や適性によっては商品開発部門などリーガルセンスと知識を活用した部門に活躍の場を持つかもしれない。

いずれにしろ、会計や税務、取引の知識などさまざまな能力を持った他の社員同様育成したいと考えて採用するのである。

どのような採用が正解かはわからないが、会社ごとにどのような育成を行なうのかをきちんと確認してインハウスローヤーにならないと、すぐに退社しなければならなくなる可能性がある。中途半端な経歴では、新卒以上に再就職は困難である。

弁護士経験者が出向などを経てインハウスになる場合と新卒でなる場合は確実に大きく処遇(金銭、役職、権限など)が違う。じっくり企業の話を聞いて業務内容、育成方針に納得して会社を選ぼう。

弁護士がすでに採用されている企業なら、その人の意見は確実に聞く必要がある。

企業では弁護士も労働者なので、福利厚生、休暇や勤務時間は弁護士事務所と比べれば天国といっていい。案件を金曜日の夕方に顧問事務所に投げて、月曜日の朝に受け取るということだってできる(笑)。

研修所に入ったばかりの修習生の方で弁護士志望の方には、「弁護士になるのだから」という視点だけではなく、どのような生き方をしたいか、人生設計を考慮した就職活動を行なってもらいたいと思う。

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