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2012年1月26日 (木)

自由財産500万円までの今後の影響

金融庁などが作った「個人番私的整理ガイドライン」があまりにも利用されないためか、本制度を利用しても現金の場合500万円までにとめることを正式決定した。⇒こちら

債務免除について、実質的に破産手続き開始と同要件で認めるものの、破産手続きで必要な官報の公告がなく、金融機関が加盟する信用情報機関に債務免除についての登録も行わないなど、再利用可能な仕組みとして個人版私的整理ガイドラインが導入されていることは以前もここに書いた。

大震災の義捐金の配分が行なわれたこと、失業保険による収入補填が行なわれたことなどもあって、継続的な収入は見込めないものの現在保有する現金や預金、土地などの資産を考えると、利用を躊躇せざるを得ない状況であったということは想像に難くない。失業保険の給付期間も終了し、企業や地域の再生のメドが徹底ない今からこそ、利用が増えるものと思っていた。しかし、これに加えて、500万円までの現金を残せるなると、利用者の急増が見込まれるのではないか。

ただ、破産法の自由財産(現行生活費として3月分の99万円)の原則を一挙に5倍に拡大したことの影響、また厳格だった破産法の運用が緩和されていることを考えると、関連する他の法律や債権管理実務の見直しも必要になるのではないかと思われる。

例えば、保証人制度の問題がある。アメリカでは、物的担保だけでなく、中小企業や創業期には、経営者者保証や個人保証が大変よく活用されているが、わが国の金融機関は金融庁の監督指針で経営者保証以外の第三者保証が実質的に禁じられる運用がなされていることと対照的である。(地域金融機関向け監督指針Ⅱ-3-2-1-2(2)①ハ、ニ、ホ、へ)

これは、アメリカでは、主債務者がデフォルトして、保証債務の履行を求められて、破産手続きを利用しても、ほとんどの州の破産法では、小規模な自宅不動産、自動車などが自由財産として認められており、生活の基盤は揺るがず、また再チャレンジ可能な風土も保証されていることと関係があると思われる。

有限責任の法人向け融資に、無限責任の個人保証を組み合わせることによって、規律のある融資金の利用が期待でき、ひいては返済確実性が高まるという利点がある。他の理由によって会社運営が難しくなり返済できなくなってしまっても、会社は整理し、保証人は破産手続きを活用して、再生が可能なので、わが国の保証人ように深刻な事態は発生しにくいということなのだろう。

自由財産の拡大は、大震災の場合だけが原則であろうが、運用では本件並みの認定がされている運用もある。これにより、個人民事再生である小規模個人再生の再生計画の認可要件も緩和される可能性がある。

そうなると、監督指針における個人保証の取得の問題も、個人再生手続き創設以前、破産法改正以前のステージと現在のステージが大きく変わりつつあるということを認識したうえで、再検討すべき時期が近い将来訪れるのではなかろうか。法律の制定・改正や規則・ガイドライン等の前提となっている社会現象や制度の変化、法律のの改正や運用の見直しがあれば、見直すのが当然だろう。

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