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2012年1月14日 (土)

個人信用情報の目的外利用で初の逮捕者

朝日新聞によると

愛知県警の警察官らの戸籍謄本などが不正取得された事件で、県警捜査4課などは13日、個人の借金などの信用情報も不正に得ていたとして、貸金業法違反(目的外使用)容疑で、司法書士事務所経営奈須賢二容疑者(51)と探偵会社「ガルエージェンシー東名横浜」代表粟野貞和容疑者(62)=いずれも戸籍法違反罪などで起訴=を再逮捕し、新たに貸金会社社長西脇誠容疑者(40)=東京都大田区南雪谷=ら3人を逮捕した。

とのこと。この貸金業者は、中日新聞では商号が明記されており、株式会社グローバルワンという会社のようである。→こちら

しかも、他にこの貸金業者の取締役と従業員も逮捕されている。JICC(日本信用情報機構)の照会料金165円に対して4000円で受けており、2200人分が不正照会されたようである。

貸金業者は、指定信用情報機関への信用情報の提供等に係る同意の取得等が義務付けられ、

第四十一条の三十六  加入貸金業者は、加入指定信用情報機関に資金需要者等に係る信用情報の提供の依頼(当該資金需要者等に係る他の指定信用情報機関が保有する個人信用情報の提供の依頼を含む。)をする場合には、内閣府令で定める場合を除き、あらかじめ、当該資金需要者等から書面又は電磁的方法による同意を得なければならない。 
とされており、これに違反している。
また、同意を得ていたとしても、目的外利用が禁じられている。
第四十一条の三十八  加入貸金業者又はその役員若しくは職員は、次に掲げる調査(以下「返済能力等調査」という。)以外の目的のために加入指定信用情報機関に信用情報の提供の依頼(第一号の資金需要者等及び第二号の主たる債務者に係る他の指定信用情報機関が保有する個人信用情報の提供の依頼を含む。)をし、又は加入指定信用情報機関から提供を受けた信用情報を返済能力等調査以外の目的に使用し、若しくは第三者に提供してはならない。
  当該加入貸金業者の顧客である資金需要者等の借入金の返済能力その他の金銭債務の弁済能力の調査
 
  前号に掲げるもののほか、当該加入貸金業者が締結する保証契約に係る主たる債務者の借入金の返済能力その他の金銭債務の弁済能力の調査
 
  加入貸金業者又はその役員若しくは職員は、加入指定信用情報機関から提供を受けた信用情報について、これらの者に該当しなくなつた後において、当該信用情報を使用し、又は第三者に提供してはならない。
これらに対する違反行為は、貸金業法47条の3第1項6号に該当し、二年以下の懲役か三百万円以下の罰金に処せられる(併科あり)。これは貸金業者だけに適用されるのではなく、情を知つて、この違反業者やその役職員から信用情報の提供を受けた者にも適用される。
貸金業法の3号施行で個人向け貸付・保証契約に関して指定信用情報機関の信用情報を利用した審査が義務付けられたことに伴う、センシティブな個人信用情報の保護を担保するために罰則である。
これが守られなかったということは、貸金業界においては、大変な問題である。すでにJICCからは利用停止の措置が公表されており、貸金業協会からも当然処分されるだろう。また、法令違反として、貸金業務の停止命令や登録取り消しの対象となる(24条の6の4第2号)。
しかし、当該業者以外にも第三者提供されている可能性も考えられ、信用情報機関としては、信頼を回復するためにも、加盟会員の利用状況の再点検(同意の取得記録と照会情報の付け合せなど)を行う必要があるのではないか。
この会社は、貸金業以外にも買い物代行業を行っているが(→こちら)兼業の営業状況とともに、信用情報機関は、照会記録と成約情報により、不審な照会をチェックできるようなシステム(ランダムな登録者への登録についてのお知らせの発送など)構築を図る必要もあるのではないか。

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コメント

金融機関に勤めています。ご意見をお伺いさせてください。定例の人事面談時に上司が自分の個人信用情報を検索して、
借金について聞いてきたと推測されることがありました。顧客や職員にコンプラを説いている会社としては、あってはならない「目的外利用」と思うのですが、いかがでしょうか。数年前に社内融資は借りましたが、今回は他の金融機関の記録を出したようです。

                 以上

投稿: 親方 | 2012年3月31日 (土) 03時25分

金融機関であれば、多額の負債を抱えることが顧客の資産に手を付けたり、貸付システムを悪用するなどの犯罪に手を染める端緒となる可能性があることから、就業規則に定めて、個別の同意を得るなどして社内貸付の利用状況の調査が行えるようにしている場合が考えられます。社内貸付に付帯する情報では、雇用管理個人情報に該当することになると思いますが、「事業の用に供している個人情報」とはいえないと考えられますので、業法や金融機関向けガイドラインの対象外といえるのではないかと思います。したがって厚生労働省の雇用管理に関する個人情報保護のためのガイドラインに準拠していれば問題ないと考えられます。

しかし、貸金業法の指定信用情報機関であれば総量規制のために、全件登録が義務付けられる代わりに、利用目的が厳格に制限されています(法41条の38)。したがって、上記のような利用は違法行為となります。

ただし、個人情報保護法以外の法律上の規制を受けない信用情報保有機関も存在しますから、第三者提供に関する同意がなくとも、オプトアウト方式で情報提供を受けることが考えられます。なお、金融機関の貸付情報の場合は、オプトアウト方式は認められていませんから、無理と思いますが、いずれにしろ正しい情報か、どこから手に入れたのかなどがわからないと最終的な判断はできかねます。

投稿: 品川のよちゃん | 2012年4月 1日 (日) 15時11分

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