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2012年2月12日 (日)

大阪府/「平成23年度貸金市場に関する調査結果と今後の課題」はぜひ読むべきだ。

大阪府が、平成21年度に、貸金業法の施行を前に、大阪府内の貸金業者の状況や、資金需要者等の実態動向を調査を行い、その結果を踏まえ、「貸金特区」の申請をしたことを覚えておられるだろう。

結果的に国から否決されたが、中小事業者などの資金需要者の借入環境や実態を踏まえた提案として、大阪府の活動は、貸金業法改正の過剰規制に警鐘を鳴らし、大いに評価されたものだ。

その第2弾というか、「平成23年度貸金市場に関する調査結果と今後の課題」(案)が、今月になって公表されている。⇒ こちらから

http://www.pref.osaka.jp/kashikin/kashikin_tyousa/index.html

http://www.pref.osaka.jp/attach/10004/00000000/H23chousakekka_shosuai.pdf

詳しくは報告書を見てもらいたいが、いくつか気が付いた点をコメントしたい。

「資金需要者の状況」においては、

比較的年収の高いそうで多重債務者は減少しているものの、小規模事業者は自己資本比率が低く、借り入れ需要が大きいが、資金繰りに窮しているとの分析だ。

問題点として、

多重債務者は減少しているが、返済困難者問題は改善しているとは言えず、債務整理やヤミ金利用につながっている。としている。

このような状況を評価する見方もあるが、立場の違いから一律に評価できないとして、

しかしながら、規制の結果、返済できるにも関わらず、借り入れができず資金繰りに窮している方がいること、さらには、その結果として、意図せざる破綻に追い込まれている現状もあり、市場機能が適切に働くようにすることは喫緊の課題。

故、今回のとりまとめは、貸金市場という限られた範囲の当事者である利用者視点を座標軸の中心に据え、方向性を検討。

ということで取りまとめられている。

そのうえで、

①金利規制によっては、金銭の貸借期間が短いものや、速やかな融資判断を要 

 すもの、コストが嵩む小額貸付など、対応しがたいものもあり、今後は、市 

 場を通じた金利調整機能が適切に働くよう市場の再構築を図っていくこと 

 が必要である。

貸し手については、自らが厳しいコンプライアンスを課した上で、貸金市場

 を担う者として役割を果たすことが重要。とりわけ、資金需要者が「借りた

 ら良くなる」借り手なのか、あるいは「借りてはダメな」借り手なのかを適

 切に見極める責任を持つことや、必要なところに資金供給を行い、借り手を

 適切にトレースできるようになることが求められている。例えば「借りては

 ダメな」借り手に貸した場合に、元金・利息の放棄や返済猶予など、貸し手

 による借り手保護のための規範等の検討も必要。

返済困難者問題については、それぞれに借金をした背景や要因(理由や事    情)、あるいは相談時点での問題状況が異なり、個別事情に対応した臨機の   支援が不可欠。さらには、そうした問題の発生を予防し、仮に問題が生じても被害を最小限に抑える取組み重要。一つには、相談時対応としての「アセスメント」と「カウンセリング」、その結果としての「社会資源を活用した支援(アフターフォロー)」であり、二つには、借金を制御できる「借金力」を高める「金融経済教育」が重要。

と、現在の貸金市場が対応できていない「短期ニーズ」「緊急ニーズ」「少額ニーズ」への取り組みを促すとともに、貸金業者の丁寧かつ長期的な視点に立った審査を促している。

それでも解決できない問題として、返済困難者問題をアセスメントとカウンセリングにより、解決すべき方向性を示している。また、根本的問題としての金融経済教育への取り組みにも言及している。

大阪府のこの分析と提言には、大変共感できる。

中小事業者や個人にとって、金利の高低にかかわらず、資金ニースがあり、これに金融機関や貸金業者は応えていく必要があるが、「小口短期資金を速やかに」というニーズには、今の法規制では応えることは難しい。

また、返済困難者問題は、この報告が示す通り、金利問題ではなく、収入減が契機となっているのであって、あとから、総量規制や金利規制してもどうにもならない問題であることは明らかだ。

思えば、平成18年の法改正では、「高収入の人」「金融リテラシーの高い人」で「資金需要のない人」が中心になって議論してきた。

したがって、結果として規制のピントがずれている面は否めない結果となっている。

もちろん法改正の効果は、いろいろな面にわたって効果があったのであるから、ここらで、「低収入の人」「資金需要のある人」を中心に据えた議論をやるべきではなかろうか。そのうえで「金融リテラシーが低い人」に対応する施策を組み合わせていくことが今から必要である

今回の提言を国会議員の各先生方、金融庁にはよく読んでもらい、本当は「誰の意見を聞くべきだったか」という根本のところでよく考えてもらいたいものである。

 

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