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2012年2月29日 (水)

貸金業者の減少以上に苦情が大幅に減少

金融庁から、貸金業統計資料が公表された。→ こちら

相変わらず、貸金業者数は減り続けている。

しかし、苦情の件数は、それを大幅に上回って、減少している。

相談・照会件数と合わせると貸金業者数の変動にほぼ一致するが、中身を見れば、相談・照会のほとんどは、無登録業者に関する照会等であり、明らかに苦情はその数倍減っている。相談の内容は、ヤミ金等に関するもののほか、債務整理や法令解釈等の相談でほとんどを占めており、いわゆる苦情は一割に過ぎない。

ずいぶん様相が変わってきた。

今検討すべきは、全体の苦情や相談の3分の一を超えるヤミ金など無登録業者対策ではないのか。

3月1日追記

日経新聞では、日本貸金業協会の調査結果をもとに「『ヤミ金』利用じわり増加」の記事を掲載している。→こちらから

消費者金融などの個人利用者のうち、ヤミ金を利用したり接触があったりした人の割合は7.8%と1年前より1.3ポイント拡大。

事業者の場合、ヤミ金の利用または接触のある人の割合は22.9%となり、7.7ポイント上昇。

クレジットカードでほとんど価値のない商品を購入させ、代金を返金する「ショッピング枠の現金化」業者との接触のある事業者は4.1ポイント増の19.8%だった。

と紹介している。

又、先に取り上げたが、大阪府の調査でもヤミ金に頼る事業者の実態が明らかにされている。

そのような中、日本金融新聞では、「『総量規制対象外』の使用禁止を指導?」の記事がある。ある銀行の消費者ローン担当者によれば、「つい最近、金融庁からお達しがあった」とのこと。内容は、「消費者ローンの広告に『この商品は総量規制対象外です』などという宣伝文句を使わないように」というものらしい。

これが事実とすると、この「お達し」?又は「口頭指導」?は、どのような法的根拠で行なわれるのか。銀行が貸し出し、貸金業者が保証する場合は、「貸金業者による保証を付した銀行による貸付けには、改正貸金業法第13条の2に規定するいわゆる総量規制等、同法の適用はないが、顧客保護やリスク管理の観点から、本項に規定している所要の態勢整備を図ることが重要である。」(主要行監督指針Ⅲ-4-3-1)と規定があるが、それに限るということなら、以前から特に変わっていない。

なお、主要行監督指針では、

III -4-3-2 主な着眼点

  • (1)改正貸金業法の趣旨を踏まえた適切な審査態勢等の構築

    • イ.借入状況や返済計画、返済実績、年収や資産の状況などを踏まえ、顧客が借入申込額に対して返済能力を有していることを確認する仕組みを審査過程に設けるなど、銀行による貸付けが顧客にとって過剰な借入れとならないよう顧客の実態を踏まえた適切な審査態勢が構築されているか。

    • ロ.消費者向け貸付けは、信用情報機関の情報を利用した審査や債権管理・回収など特有の手法が存在する。この貸付け手法に伴うリスクを把握し、適切に管理し、経営陣がその状況を理解して必要な指示を行っているか。

と定められており、「銀行による貸付けが顧客にとって過剰な借入とならない顧客の実態を踏まえて適切な審査態勢」が求められており、これが満たされる限り問題はないはずである。ましては総量規制を遵守しなさいとか、総量規制の対象外の広告を禁止するとの明文の規定も指導もない。

にもかかわらず、「総量規制の対象外の広告を禁止」するのは、なぜだろう。

金融庁が、ミドルリスク層を対象とする貸金市場は、ノンバンクも銀行も同じであるとの認識に立ち、新聞にあるとおり、銀行ノンバンクは、「両者の貸付け上限金利は同じにもかかわらず、ノンバンクだけ一方的に総量規制を課す」「競争条件上不公平」となっている状態を改善する必要があると考えたのだろうか。

そして、総量規制の影響で資金調達が困難となっている人が増加しているとの認識もされているようであるから、そのような中でも銀行に総量規制が必要だ金融庁が考えるなら、明確に、銀行法を見直しすべきだろう。

そうでなく、単に競走上の不平等の是正』の観点であるならば、銀行とノンバンクは、貸付の原資の調達において、銀行は超低利での預金で調達できる一方、貸金業者は銀行借入に依存し、その差は大手ノンバンクと銀行間では2%前後、中小ノンバンクなら5%程度は差が存在する問題にも目を向けるべきではないか。

この金利差も、『競争条件上の不公平』であるからだ。

議員の間で貸金業法の見直しの検討がなされていると聞くが、ぜひ調達金利のさも念頭に金利規制も考えていただきたいものである。

それにしても、ヤミ金利用者が増加していると報道されている中で、銀行が金融庁の指導により、「自主的に総量規制」にはいった場合には、さらに状況は悪化するのではないだろうか。

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