« 自由財産500万円までの今後の影響 | トップページ | 公正取引委員会における弁護士の増加 »

2012年2月 3日 (金)

業務報告書(様式24)の見直しと貸金業の定義の問題点の解消

昨日金融庁から、未成年後見について法人が認められることに伴い業務報告書の改定案が公表されている。→リリース

そのうち、様式24の改正案を見ると3p目の「1 貸付金の種別残高」のなかで「事業者向け」貸付けの欄に「関係会社向け」の欄が新設されたことが注目される。→こちら

この関係会社は、貸金業者の親会社、子会社、関連会社のほか、貸金会社を関連会社とする(親)会社が対象とされている。このことから、金融庁は事業者向け貸付けから、実質無担保の低金利でグループ企業向け専門に貸付けを行なっているグループ金融貸金業者の貸付けの規模と金利の状況を把握しようとしていることがわかる。

これで関係会社向け貸付けを除いた場合の事業者向け無担保融資における「ふたこぶらくだ」は、どのような変化を見せるのか。これは、今年の秋には判明するが、いまから大変に興味深い。

もう1つ興味深いのが、現在の関連会社、関連会社としての親会社への貸付けが貸金業法の適用から除外されるかどうか、ということだ。

事業者向けであり、かつグループ会社間での金融取引であるから「資金需要者等の保護」の対象と考える必要はないと考えられたが、金融庁は、このような貸金取引も貸金業法の登録対象としてきた。→ 金融庁ノーアクションレター

今回の調査対象となったことでこれが撤廃される方向性に変化する可能性があるのではないかと思い、念のため再度最近のノーアクションレターを確認するとなんと、先の事例に類似の照会事例があり、平成23年12月27日付で子会社ではない合弁会社に対する貸付けには貸金業の登録が必要と判定されていた。→ 回答結果 照会文書

つまり、現時点では、貸金業についての貸金業法2条1項の解釈と3条1項の登録の必要性については金融庁の考えには変化がないということである。

この件がもたらす問題については以前も2度ほど書いている(→例えばこれこれ)が、グループ金融に特化した会社が貸金業法に基づくすべての内部管理体制の整備や人員配置に対応するのはかなりのコスト負荷があり、ましてや貸金業務取扱主任者の資格取得が極めて厳しい(今年度は合格率21%台)状況では登録もままならないという事態も考えられる。このようなグループ会社向けに継続的に資金提供する会社は、筆者の体験からすると実は相当数存在するのではないかと考えるが、登録業者を見ると当然登録すべきと思われる国内外の企業の名前は貸金業登録簿にはほとんど見当たらない。このような状況でもし金融庁が遮二無二グループ金融界者の登録を促したら、一体どうなるのであろう。

すでに貸金業者が3000社を割って久しく、平成23年11月現在2424社である。このような会社は、登録しても決して貸金業協会には加入しないであろう。そうなると現在1467社しか会員会社はないので、グループ金融会社が500社弱増えれば、貸金業協会は組織率の50%を下回ってしまう。

その貸金業協会も貸金業法で全都道府県に支部設置を義務つけられており、会員数の減少による会費収入の減少とともに、ランニングコストの高止まりで赤字状態という。

一方貸金業以外に目を転じれば、闇金は相変わらず暗躍し、クレジットカードのショッピング枠を利用した現金化という名の実質貸金、物品の貸借や譲渡を名目にした実質的な貸金が横行している。

すでに平成18年12月の改正法1号の施行から5年、4号施行から2年を迎えようとしている現在、貸金業法の中にある矛盾点や問題点、施行後に生じた課題などを整理すべき時期に来ているのではないか。

今なら平成18年当時とまったく異なった、きちんとしたデータやその後明らかになった諸外国の状況、現状の問題点を踏まえた冷静で、体系だった議論ができるのではなかろうか。

|

« 自由財産500万円までの今後の影響 | トップページ | 公正取引委員会における弁護士の増加 »

企業法務」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 業務報告書(様式24)の見直しと貸金業の定義の問題点の解消:

« 自由財産500万円までの今後の影響 | トップページ | 公正取引委員会における弁護士の増加 »