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2012年10月 1日 (月)

大幅に縮小し、均衡し始めた貸金市場

9月28日平成24年3月末の業務報告書に基づく貸金業統計表が公表された。⇒こちら

これによると消費者向け貸付残高は、7兆8315億円と昨年から1兆7204億円(18%)減少し、ピークだった貸金業法改正直前の平成18年3月末当時の37.5%になっている。

業態別を見ると消費者向け無担保貸金業者の落ち込み(前年度比15.9%)とクレジットカード会社(同15.5%)や信販会社(同14.6%)とほぼ同じ落ち込み具合になり、やや持ち直しの気配がある。しかし、消費者向け無担保貸金業者の残高は3兆792億円とピーク時の26.2%にまでに落ち込んでおり、今更ながら、この間の総量規制による新規貸付の抑制とと過払い金返還による元本毀損の猛威のすごさを感じる。一方、中堅法人・大企業向けの向け事業者貸付が中心であるリース会社が、昨年比プラス13%と増加し、平成18年3月期対比でも10.4%となっている点が目を引く。総量規制が無関係で、旺盛な資金需要がある事業者には、リース会社がこれに応えているということがわかる。また、それより大規模な会社に資金供給する事業者向け貸金豪奢も昨年対比マイナス2.1%であり、消費者部門の大幅マイナスを見るにつけ、その資金需要は、どこで満たされているのか、不明であり、統計の限界を感じてしまう。

ところで、一昨年、昨年と比較してみると(資料は、こちら

各業態とも貸し付け金利が大きく下がっている。経済全体が低金利下にあり、また総量規制やクレジットに対する支払可能見込額調査義務の導入などがあって、延滞や不良債権が大幅に減少しているというのも影響しているのであろうか。

消費者向け無担保貸金業者は、一昨年 19.96% 昨年18.29% 今年17.27%

クレジットカード会社は、16.78% → 15.97% → 15.42%

信販会社は、       16.31% → 15.41% → 14.87%

しかし、事業者向貸金業者の消費者向け無担保の金利は、昨年の12.52%から14.08%に上がっている。残高が少ないが、これは何を意味するのだろうか。

一方事業者向けの貸付は、好調といえるが、全体の66%を占め、1件当り平均貸付残高が1億円を超える事業者向け貸金業者が金利が1.49%と最も低いのは大企業またはグループ内企業向けの貸付なのだから当然だろう。なお、1件当り平均貸付残高が最高額の1億6975万円であるリース会社が2.92%で、1件当り平均貸付額が1140万円のクレジットカード会社の1.66%、1件当り平均貸付残高が866万円の信販会社の2.25%より、高率であるというのは、興味深い。

少額な消費者向けになると、大企業には1.49%で貸し出す事業者向貸金業者も、金利は、14.08%であり、信販会社の14.87%と大差がない。

一方高額な貸付で、事業者向けになれば、リース会社の2.92%より、クレジットカード会社のほうが1%以上低く、事業者向貸金業者と大差がない。しかし、消費者金融会社の扱う事業者向け貸付は、1件当り平均貸付残高が182万円とかなり少額で、中小零細事業者向けの貸付が多いと思われるが、その金利は大手でも10.32%と高止まりしている。

資金調達力とその調達金利を除けば、貸付業務の効率性と与信基準に左右される貸倒など不良債権により、貸出金利は決められるものだから、このような金利水準の設定は当然であろう。

これは市場原理が働いた結果であるといえようが、その前提として、この金利帯で貸せない人は、排除された結果であることは、論を待たないだろう。この金利帯では、リスクが高く貸せない人を排除して、縮小均衡が成り立ちつつあるというのが、現在の状況ではなかろうか。

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コメント

ということは、排除された層に相当な借り入れニーズがあれば、取り残された市場があるということですか。蜃気楼であって、そこには市場がなくなったしまったのか、それとも、ひっそり取り残された市場が残っているのか。限られた統計で、判断できませんよね。

投稿: 通りすがり | 2012年10月 1日 (月) 21時45分

>通りすがりさん

消費者向け貸金業者の貸付残高の減少の要因は、新規貸し付けが金利の引き下げと総量規制で貸付対象者が減ったことに加えて、貸金業者の倒産・廃業による貸付債権のサービサーへの譲渡その他貸金業者以外への債権譲渡で事業報告書での報告数字が減少していることと、過払い金の返還請求による債権の元本毀損が原因と思います。クレジット会社や信販会社も総量規制の面では同様に影響を受けていますが、消費者金融会社のほうの残高の減少が極端なのは、クレジット会社や信販会社の倒産や廃業がほとんどないことと比較すれば明らかでしょう。

金融庁が、過払い金請求に伴う元本毀損額と廃業などに伴う債権所と額を捕捉すれば、数兆円の残高減少のほとんどは、この範囲内に入るかと。金融庁や弁護士会は、法改正前には、「過剰な資金需要はテレビCMなどで過剰にあおった結果であり、そもそも実需は少なかったのだ」といいたいため、このあたりの調査はあえて行っていないのではないかと思われます。
もちろん、その数分の一は、実需があって、ヤミ金などの餌食になっていることは間違いないのですが。

投稿: 品川のよちゃん | 2012年10月 1日 (月) 22時10分

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