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2014年2月14日 (金)

地裁で訴訟代理できない司法書士の裏技を裁判所が全否定

判例時報2206号111ページに、富山地裁平成25年9月10日不当利得返還請求事件の判決とその解説が掲載されている。過払い金の返還を求める本人訴訟である。結果は、「訴えを却下する」との内容である。

なぜ、訴え自体が却下されたか。それは、原告本人(個人)の後ろで、訴状を作成するだけでなく(ここまでは、司法書士の業務)、その後準備書面、訴えの変更申立書、報告書、忌避申立書を作成し、裁判所への提出を行っていたからである。

民事訴訟法54条1項は、「法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。 」と規定されており、原則、紛争当事者以外の第三者は訴訟追行できない。

*例外として、任意的訴訟担当、簡裁事件のサービサーが直接、訴訟追行が可能であり、認定司法書士は簡裁事件に関して訴訟代理ができる。しかし本件は、地裁案件である。

この司法書士は、このことを十分知ったうえで、自らは、法廷に臨席し、原告を背後で指導しながら、被告の主張や反論を聞いて、「いかなる内容の書類を作成すべきかを判断」して、「その判断に基づいて書類を作成」し、各書面は全て原告個人の名前を記し、預かった印鑑を押印して、自ら提出していた。

これに対し、裁判所は、司法書士は、「他人から嘱託された趣旨内容の書類を作成する場合であれば、司法書士の業務範囲に含まれ、弁護士法72条違反の問題を生ずることがないが、いかなる趣旨内容の書類を作成すべきかを判断することは、司法書士の固有の業務には含まれないと解すべきであるから、これを専門的法律知識に基づいて判断し、その判断に基づいて書類を作成する場合には、同条違反となるものと解されており、民事訴訟法54条1項本文の適用範囲につき上記のとおり解釈することは、」弁護士法72条により非弁護士の法律事務禁止の規程と「整合的である」としている。 

この判断基準は、司法書士の訴訟事務と弁護士法72条違反の間の微妙な問題について、明確な判断を示したものであると評価できる。なお、この判決は確定している。

この判決は、司法書士、時には、行政書士も含め、訴訟関係書類の作成の受任における事務処理の取扱の実態に警鐘を鳴らすものといえよう。

一部には、この司法書士が、裁判官の忌避申立書まで作成し、提出していたことなどから、特殊なケースと見る向きもあるが、この判断基準は、この司法書士が今まで同様の方針で、大量の過払い金事件を扱っていたことを詳細に認定したうえで行われており、同様のケースは各地で見られることから、相当の影響があるのではないかと思われる。

その上、本件では、原告本人がこの司法書士の訴訟行為を追認したにもかかわらず、これを否定し、訴えを却下して入ることが注目される。この場合、裁判に原告として数回出席したにもかかわらず、訴え自体を却下された原告への影響は大きい。もう一度、訴訟を提起しなければならず、費用や出廷の負担が二重に係る。そもそも、司法書士の裏技のために、余計に出廷することにもなっているようであり、原告が正式に弁護士に頼んでいたなら、出廷の負担もなかったのではないか。そういう意味で、改めて弁護士に依頼したときに、本人のこのような金銭的、肉体的、時間的損害の問題が避けて通れないように思われる。貸金業者の訴訟担当者及び司法書士の方は、必読の判決であろう。

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