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2014年4月 1日 (火)

もう一つの平成26年3月28日最高裁判決~「詐欺罪にいう人を欺く行為」について

3月30日に、「詐欺罪に言う人を欺く行為」についての平成26年3月28日最高裁判決を取り上げたが、今日になって、同日に言い渡されたもう1件の判決がアップされた。⇒こちら

すでに、内容は新聞等で概略わかっていたが、先般の記事とは反対に暴力団関係者のゴルフ場の利用申込みが、「詐欺罪にいう人を欺く行為」と認定され、有罪になっている。

暴力団員と認定され、暴力団お断りを表明しているゴルフ場で、暴力団員ということを隠して、ゴルフ場の利用契約を締結して、ゴルフをしたことは全く同じであるが、有罪・無罪と結論が分かれている。

しかし、有罪となった本件では、ゴルフ場の利用約款で暴力団員の利用を禁止するだけでなく、先日の記事の事件と異なり、暴力団員を誘った会員に対して「入会の際には「暴力団または暴力団員との交友関係がありますか」という項目を含むアンケートへの回答を求めるとともに,「私は,暴力団等とは一切関係ありません。また,暴力団関係者等を同伴・紹介して貴倶楽部に迷惑をお掛けするようなことはいたしません」と記載された誓約書に署名押印させた上,提出させていた」点が大きく異なる。

しかも、誘われた暴力団員も利用を断られる可能性があることを認識していたことが認定されている。

また、暴力団員を同伴した会員は、その発覚をおそれ「自分については,「ご署名簿(メンバー)」に自ら署名しながら,被告人ら同伴者5名については,事前予約の際に本件ゴルフ倶楽部で用意していた「予約承り書」の「組合せ表」欄に,「△△」「○○○○」「××○○××」などと氏又は名を交錯させるなどして乱雑に書き込んだ上,これを同倶楽部従業員に渡して「ご署名簿」への代署を依頼するという異例な方法をとり,被告人がフロントに赴き署名をしないで済むようにし」ているようだ。

このようにして、会員が同伴する被告人が暴力団員でないと信じさせて、ゴルフ場に利用を承諾させている。

このゴルフ場では、「ゴルフ場利用約款で暴力団員の入場及び施設利用
を禁止する旨規定し,入会審査に当たり上記のとおり暴力団関係者を同伴,紹介しない旨誓約させるなどの方策を講じていたほか,長野県防犯協議会事務局から提供される他の加盟ゴルフ場による暴力団排除情報をデータベース化した上,予約時又は受付時に利用客の氏名がそのデータベースに登録されていないか確認するなどして暴力団関係者の利用を未然に防いでいたところ,本件においても,被告人が暴力団員であることが分かれば,その施設利用に応じることはなかった。」として、最高裁は、「入会の際に暴力団関係者の同伴,紹介をしない旨誓約していた本件ゴルフ倶楽部の会員であるAが同伴者の施設利用を申し込むこと自体,その同伴者が暴力団関係者でないことを保証する旨の意思を表している上,利用客が暴力団関係者かどうかは,本件ゴルフ倶楽部の従業員において施設利用の許否の判断の基礎となる重要な事項であるから,同伴者が暴力団関係者であるのにこれを申告せずに施設利用を申し込む行為は,その同伴者が暴力団関係者でないことを従業員に誤信させようとするものであり,詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず,これによって施設利用契約を成立させ,Aと意を通じた被告人において施設利用をした行為が刑法246条2項の詐欺罪を構成することは明らかである。」として詐欺罪の成立を認めている。

「詐欺罪にいう人を欺く行為」という刑事事件としての判断とはいえ、前回の記事で指摘したように、暴力団員が、自分が利用契約が締結できない可能性があることを認識させるために、契約締結の当事者として、相手方に暴力団員でないことや暴力団員である者を同伴または紹介しない誓約までを要求している。

2つの判決が同時に出されたことで、詐欺罪として訴追できるケースは明確になったと思う。企業としての警察への協力の判断基準としては、よい。

今後は、反社データベースに基づく定期的な「事後チェック」によって、暴力団員と判明した場合の「事後対応」でどう対応すべきかの問題が残る。

さて、対応方針の見直し、設定において、どう対応すると規定すべきだろう。

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