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2015年6月 1日 (月)

とうとう貸金業者数が2000社を切ってしまった。

今月発表された金融庁の貸金業統計によると、平成27年4月末の貸金業者数は、1997社となり、2000社を切った。平成20年4月末の業者数8,852社からしても4分の一以下、ピーク時からするとほぼ20分の一以下(95.8%減)になっている。→ 貸金業統計
27年3月末に大手を含む複数都道府県に営業所を持つ比較的大きな業者数が300をきり、今回同一都道府県にしか営業所を有しない小規模な業者数が1700となった。世の中から、「貸金」へのニーズがなくならない限り、廃業など退出が続けば、新たな企業が創業されるはずであるが、創業を上回る退出が貸金業法制定時以降続いている状況に変化がないが、ここまで減っても、さらに減少傾向が続くとは、本当に異常な状態だ。
貸金業務を行うには、銀行と保険会社や、倉庫業など一部の業種を除いて内閣総理大臣(財務局)、又は都道府県知事に登録手続きを行わねばならず、そのためには、銀行や貸金業者等で業務の経験のある役員や従業員を確保し、さらに難関の貸金業務取扱主任者資格試験の合格者を従業員や営業所に対応して、一定の人員の確保が必要であるため、創業・企業が難しいのだろうか?

そうでは、あるまい。
大幅に減少しているのは、消費者向け貸金業者であって、事業者向け貸付残高表に表れる法人向け貸金業者数は、平成20年3月末の1,442社から平成26年3月末で665社に減少(53.9%減)しているものの、消費者向けの77.4%に比べると緩やかである(まだ、平成27年3月のデータがない)。
貸金業者は、現在利息制限法で許容する15~20%以下の金利でしか貸すことはできないが、20%でも貸せるのは、元本10万円未満であり、18%で貸せるものでも元本100万円未満であって、年間の利息額は、100万円未満の貸付では、18万円にも満たない。
一方、法人向け貸金業者の平均残高は、平成26年3月末で1億7780万円であり、年間利息は、10%なら1778万円であり、5%なら889万円になる。
つまり、小口の消費者向け(貸付平均残高458000円)では、18%の金利をとっても、82440円の利息収入しかなく、法人向け5%で貸し付けている場合と同じ額の利息収入を得るには、107件強の貸付件数を獲得しなければならないのである。
当然獲得件数1件あたりの広告・勧誘費用、事務処理のコスト、人件費は、消費者向けのほうがかかるから、同じ利息収入でも、営業利益は少なくなる。

個人の場合、総量規制で必要以上の貸付することがないから、貸し倒れリスクは、相対的に低くなってはいるが、収入は限定され、過払い金返還請求に応じながら、必要なコンプラコストを払いつつ営業するのが困難で廃業している一方、過払い金返還負担のない新規参入者にも、魅力がない業界になっているのであろう。
従って、消費者向け貸金業者は、今後も減少を続けていくしかないのであろう。

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