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2017年11月20日 (月)

平成29年度貸金主任者資格試験解答速報

先日実施された平成29年度の貸金業務取扱主任者の資格試験を受験された皆さん。お疲れさまでした。
受験予備校なども、まだ、解答速報を出していないようです。
毎年の恒例ですが、「品川のよっちゃん」のブログで、解答速報を出させていただきます。
今年の試験問題を本日朝から、解いてみたのですが、今までにない、受験生(というか、私のように毎年試験問題を解いている者)をうならせる、むつかしいとか、ちょっと驚くような問題は、ありませんでした。
テキスト及び法令集をきちんと読んだ後で、過去問に取り組んだ人は、割と楽に対応できたのではないでしょうか。
そうはいっても、毎回、前半の貸金業の問題は、特に、「個数問題」では、時間を取られ、組合せ問題も、よく理解している人には、簡単ですが、中途半端な理解だと、少してこずったのではないかと思います。

そこで、毎回予想している、合格点ですが、今年もいつもの通り、30~31問ではないかと思います。民法の問題が、あまり難しいものではなかったからです。
さて、皆さんの結果はいかがだったでしょうか?
以下に、正解と出題分野、出題形式を記載しておきます。


問題1  正解  用語の定義 個数問題 
問題2  正解  登録拒否事由 選択問題(適切)

問題3 正解  変更の届出 選択問題(適切)
問題4 正解  監督指針(情報管理体制・外部委託)組み合わせ問題
問題5 正解  利息・保証料等にかかる制限 選択問題(適切)
問題6 正解  資力を明らかにした書面の徴求基準 組合せ問題
問題7 正解   過剰貸付の除外契約 個数問題
問題8  正解  基準額超過極度方式基本契約 選択問題(適切)
問題9 正解  広告の表示事項 選択問題 適正
問題10 正解  (極度方式服務)契約締結前の書面選択問題(適切)

問題11 正解  契約締結後の変更事項に関する書面交付 選択(適切)
問題12 正解  受取証書の記載事項 個数問題
問題13 正解  書面の保存期間 組み合わせ問題
問題14 正解  債権譲渡等の規制  選択(適切)
問題15 正解  開始等の届出 選択問題(適切)
問題16 正解  利息制限法・営業的金銭消費貸借契約 組合せ問題
問題17 正解  廃業等の届出 選択(適切でない)
問題18 正解  監督指針(反社会的勢力) 選択(適切でない)
問題19 正解  貸金主任者 選択問題(適切でない)
問題20 正解  禁止行為(監督指針) 選択問題(適切でない)
問題21 正解  返済能力の調査 選択問題(適切でない)
問題22 正解  例外貸付 選択問題(適切でない)
問題23 正解  極度方式基本契約の締結時書面の交付事項 選択問題(適切でない)
問題24 正解  極度方式基本契約締結時書面の変更 選択問題(適切でない)
問題25 正解  監督処分(登録換え・不在者)選択問題(適切でない)
問題26 正解  出資法(高金利・営業的金銭消費貸借・特則 選択問題(適切でない)
問題27 正解  みなし利息 選択問題(適切でない)
問題28 正解  行為能力(未成年者、成年後見、補助、補佐)  選択問題(適切)
問題29 正解  無権代理 選択問題(適切)
問題30 正解  消滅時効と時効の中断  選択問題(適切)
問題31 正解  質権・抵当権  選択問題(適切)
問題32 正解  債務不履行の責任 選択問題(適切)
問題33 正解  保証 選択問題(適切)
問題34 正解  相殺  選択問題(適切)
問題35 正解  不当利得・不法行為  選択問題(適切)
問題36 正解  犯罪収益移転防止法  選択問題(適切)
問題37 正解  無効・取消し  選択問題(適切でない)
問題38 正解  債権譲渡  選択問題(適切でない)
問題39 正解  弁済・代位 選択問題(適切でない)
問題40 正解  委任・請負・賃貸借・消費貸借 選択問題(適切でない)
問題41 正解  相続 選択問題(適切でない)
問題42 正解  手形・電子記録債権  適切でない。
問題43 正解  個人データの安全管理措置(金融分野gl)  選択問題(適切)
問題44 正解  景品表示法(定義)選択問題(適切)
問題45 正解  紛争解決業務  選択問題(適切)
問題46 正解  消費者契約  選択問題(適切でない)
問題47 正解  業務運営自主規制規則  選択問題(適切でない)
問題48 正解  損益計算書  選択問題(適切)
問題49 正解  企業会計原則 選択問題(適切でない)
問題50 正解  会社計算規則(貸借対照表) 

 
いかがだったでしょうか?
32問以上正解だった人は、たぶん合格だと思います。
30問未満の人は、かなり、悲観的です。
30問未満の正解の方は、上記の出題分野を中心に、できるだけ早くから、テキストを中心とした基礎的な勉強を行う必要があります。貸金業法は、覚えるだけでよいのですが、民法などは、貸金業法より、勉強する範囲が、極めて広いからです。来年の合格を目指して、できるだけ、早くから、学習してください。
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2017年2月22日 (水)

平成29年2月21日最高裁判決(名義貸事件と取消しが認められる条件)

平成29221日呉服名義貸しに関する最高裁第三法廷判決が出された。

222日付の日経新聞38面には、早速「名義した客 支払免除」 「クレジット契約 業者説明虚偽なら 最高裁判所初判断」との記事が出ている。

しかし、ややミスリードではないのか? (長文注意)

判決内容を一言で言うと、「不正な取引である名義貸しの契約でも販売店に利用されたと評価されるときには、不正契約者でも、保護されないとはいえない。ただし、その抗弁が信義則に反しないことが必要である。」というものである。

立替払契約の名義貸しと呼ばれるものには、①販売店の資金調達等の目的を知って協力するもの、②名義借り人から頼まれて、販売店関与なしに行われるもの、③販売店との雇用関係などにより協力するもの、④販売店からの協力要請に応じて行われるもの⑤名義貸しの認識の薄いまま、販売店の主導により「名義冒用」に近い形で行われるもの など様々なものが考えられる。また、立替払契約の前提として売買契約や役務提供契約が存在することになるが、ⅰ)売買契約等が真実の名義人との間に存在する場合、ⅱ)売買契約等も名義貸しの場合、ⅲ)売買契約等が架空契約の場合の3通りが考えられる。

今回の事件の判決は、④でⅲ)であるケースのものと考えられる。

いままでも、⑤のケースにおいて名義貸人の責任がないと判断されることは多かったが、今回④のケースでも、「保護に値しないということはできない」と指摘しただけであり、業者の説明のうそについては、契約締結の動機に関する重要事項と認定され、かつ、それを誤認して契約を締結したこと、抗弁に関しては、無効との主張につき、信義則に反しないことが必要とされており、無条件に、契約の取消しを認めたものではない。

したがって、「告知の内容についての改正後契約に係る上告人らの誤認の有無及び改正前契約に係る上告人らが名義貸しに応じた動機やその経緯を前提にしてもなお改正前契約に係る売買契約の無効をもって被上告人に対抗することが信義則に反するか否か等につき更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。」とされたのである

 

しかしながら、本判決は、割賦販売法の解釈と適用を誤った不当な判決と考えられるので、確認してみよう。

判決では、まず、

「立替払契約が購入者の承諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても、それが販売業者の依頼に基づくものであり、その依頼の際、契約締結を必要とする事情、契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無、契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生じる可能性の有無等、契約締結の動機に関する重要な事項について、販売業者による不実告知があった場合には、これによって購入者に誤認が生じ、その結果立替払契約が締結される可能性がある。このような過程で立替払契約が締結されたときは、購入者は販売業者に利用されたとも評価し得るものであり、購入者として保護に値しないということはできないということはできないから,割賦販売法35条の3の13第1項6号に掲げる事項につき不実告知があったとして立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことを認めても,同号の趣旨に反するものとはいえない。」としている(下線は筆者)。

 

これに対しては、改正の趣旨を拡大解釈しすぎているのではないかとの批判は免れられないのではないか。

 

訪問販売した商品のクレジット契約の取消権の創設に関しては、判決文の指摘するように、「改正法により新設された割賦販売法35条の31316号は,あっせん業者が加盟店である販売業者に立替払契約の勧誘や申込書面の取次ぎ等の媒介行為を行わせるなど,あっせん業者と販売業者との間に密接な関係があることに着目し,特に訪問販売においては,販売業者の不当な勧誘行為により購入者の契約締結に向けた意思表示に瑕疵が生じやすいことから,購入者保護を徹底させる趣旨で,訪問販売によって売買契約が締結された個別信用購入あっせんについては,消費者契約法4条及び5条の特則として,販売業者が立替払契約の締結について勧誘をするに際し,契約締結の動機に関するものを含め,立替払契約又は売買契約に関する事項であって購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて不実告知をした場合には,あっせん業者がこれを認識していたか否か,認識できたか否かを問わず,購入者は,あっせん業者との間の立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことができることを新たに認めたものと解される。」(下線は筆者)にもかかわらず、「名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても、(中略)取り消すことを認めても,同号の趣旨に反するものとはいえない」なのか。

 

まず、拡張解釈が過ぎる点の第一として、

 本件は割賦販売法35条の31316号の保護の対象となる「訪問販売」なのか、という点である。

認定事実によれば、「ローンを組めない高齢者等の人助けのための契約締結であり,上記高齢者等との売買契約や商品の引渡しは実在することを告げた上で,「支払については責任をもってうちが支払うから,絶対に迷惑は掛けない。」などと告げて」立替払契約を締結したというものである。

そうすると、「高齢者等との売買契約や商品の引渡しは実在することを告げた」としている点から、高齢者との売買契約についてまで、上告人らは名義を貸したという認定はしていないといえる。真実の売買契約は、高齢者との間に存在することを販売店が告げており、上告人らは、その売買契約の名義貸しを承諾したのではなく、立替払契約について、販売店が「支払については責任をもってうちが支払うから,絶対に迷惑は掛けない。」などと告げたのを信じて、立替払契約を締結したことになる。

仮に、売買契約にも、名義を貸したということであったとしても、自己に商品等の引き渡すことを目的とした契約ではなく、人助けの目的であることが、販売店との間で特約された契約に過ぎないから、特定商取引法211号及び2号に規定する訪問販売ではないのではないか。

 

 1号「販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供

2号「販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者 (以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提 供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供」

 

②本件は割賦販売法35条の31316号の適用のある「個別信用購入あっせん契約なのか」という点である。

立替払契約は、立替払契約の契約者が販売店に対して負担する売買契約等の債務について、後日返済することを約して、立替払をクレジット会社に委託する契約である。

そうすると、実在する高齢者との売買契約とはまったく別に、存在もしない売買契約(債務は存在しない)にもかかわらず、上告人の債務負担があるとして、クレジット会社に立替払を委託したことにならないか。

 そうであれば、この立替払契約は、商品等の販売や役務の提供を条件とするという割賦販売法の適用のある「個別信用購入あっせん」の定義*に該当しない契約になるのではないか。

 

*割賦販売法24項「個別信用購入あっせん」とは、カード等を利用することなく、①特定の販売業者が行う購入者への商品若しくは指定権利の販売又は特定の役務提供事業者が行う役務の提供を受ける者への役務の提供を条件として、当該商品若しくは当該指定権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部に相当する金額の当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするととも に、当該購入者又は当該役務の提供を受ける者からあらかじめ定められた時期までに当該金額を受領することをいう。

本件では、立替払契約の名義貸しとの前提で検討されているが、ここでいう立替払契約は、最初から債権債務関係を発生させる意図のない契約を原因とするクレジット会社から資金引き出しを目的としたものであり、そもそも、割賦販売法の適用対象とする立替払契約の形式だけを借用したものであるのに、割賦販売法を適用し、保護の範囲内とする点に大きな違和感を覚えざるを得ない。

 

③購入者保護から逸脱した不正契約者の保護になっていないか。

割賦販売法は、立替払する原因取引は、加盟店である販売店と購入者等との間の売買契約や役務提供契約のように、契約者が販売店に対して支払義務のある債務について立替払いを委託するものである。

認定内容でも、不正な取引である名義貸し行為すなわち、ローンを組めない高齢者に商品を販売した販売店の資金回収のための、すなわち資金繰りを手助けする目的での資金調達目的の契約での名義貸しとされているが、その実質は、売買契約と立替払契約を仮装した資金詐取行為である。本件は、契約者と加盟店が共謀して行わなければ成立し得ない行為であり、契約者が販売店から売買契約は仮装ではないこと、販売店が責任をもって支払うことについて、虚偽とは知らず、契約締結の動機になっていたとしても、自分にクレジット会社に対する債務が一切発生しないことまでを信じていたわけではないと考えられる。

 特に本件では、上告人らはクレジット会社に対する債務の返済のために、口座振替を利用している点をもっと重視してもよいのではないか。

昔の名義貸し事件では、銀行や郵便局振込での返済にしておき、後日販売店が「責任持って支払います」といって、届いた振込用紙を回収し、支払っていました。

しかし、本件では、口座振替払になっています。周知の通り、犯罪収益移転防止法の厳格な施行により、ずいぶん以前から他人名義での口座開設はできません。したがって、本件は、本人口座銀行口座等からの振替が行われており、販売店からの入金により、決済されていましたので、一時的に自分に債務が発生するが、販売店が支払うことを認識して、口座振替手続きに応じていたとしか考えられないのではないか。

また、現在のクレジット契約申込書には、名義貸ししないこと等の注意書きがあり、契約締結時に勧誘方法等の確認が行われており、本件でも、納品受けた旨の確認がされているようである。

この責任を免除するのは、威迫・困惑状態に起これていたか、完全に欺罔状態に置かれている場合が考えられるが、本人は名義貸しをしていること、債務が発生し、自身の口座から弁済のための引き落としがなされることを認識して、契約しており、月々の口座引き落としを通帳で確認できたにもかかわらず、販売店の支払い停止までなんらの申し出がなく、販売店の支払い停止後に一斉に不実告知取消しの申し出がなされたという経緯を見る限り、該当しないと考えられる。

④販売店の説明とその内容の虚偽が取り消し事由に該当するか。

判決では、(告知の)その内容は、名義貸しを必要とする高齢者等がいること、上記高齢者等を購入者とする売買契約があることならびに上記高齢者等による支払がされない事態が生じた場合であっても本件販売業者において確実に上告人●らの非上告人に対する支払相当額を支払う意思及び能力があるといった契約締結を必要とする事情、契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無及びあっせん業者に実質的な損害が生じる可能性の有無に関するものということができる。したがって、上記告知内容は、契約締結の動機に関する重要な事項に当たるものというべきである。

「以上によれば、本件販売業者が改正後契約に係る上告人らに対してした上記告知の内容は,割賦販売法35条の31316号にいう購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものに当たるというべきである」(下線は、原文まま)とした。

そして、本判決では、「契約締結を必要とする事情、契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無、契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生じる可能性の有無等、契約締結の動機に関する重要な事項について、販売業者による不実告知があった場合には、これによって購入者に誤認が生じ、その結果立替払契約が締結される可能性がある。」として、不正な取引として一般に周知されている名義貸しの契約であっても、「購入者は販売業者に利用されたとも評価し得るものであり、購入者として保護に値しないということはできない。」として、保護すべき類型があることを認めた。

しかし、「名義貸しを必要とする高齢者等がいること、上記高齢者等を購入者とする売買契約があることならびに上記高齢者等による支払がされない事態が生じた場合であっても本件販売業者において確実に上告人●らの非上告人に対する支払相当額を支払う意思及び能力があるといった契約締結を必要とする事情」というのは、不正な名義貸契約の動機になることは否定しないが、契約当事者外の第三者に対抗できるものなのだろうか?

消費者契約法の媒介の法理、割賦販売法の取消し法理とも、当然に名義貸しという不正な契約を取り扱うことは前提にしていない。販売店がクレジット会社に対する債務を全て責任を持って支払う約束の不履行は、不実の告知には該当しないのは明らかである。また、高齢者との売買契約の存在は、高齢者からの回収を期待できたので、重要な事項に該当する可能性を否定しないが、実際に名前も住所も知らない高齢者からの最終的な回収を期待していたとは到底考えられない。

また、「契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無」について、その事実を知れば、当然に契約を締結しないクレジット会社に主張できるのか。本件では、そのリスクの見込み違い(販売店の不履行)が生じたに過ぎないのに、対抗できるのか。

そして、「契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生じる可能性の有無」については、予見できなかったということが、不正契約者の主張として許されるのか、仮に取消しが認められたとしても、クレジット会社からの不法行為に対する損害賠償請求が認められる余地が大きいのではないか、など、本件に適用した場合、そのハードルは高いといえるが、どうだろうか。

このような点から、差し戻し審で、信義則に反しないとしてストレートに取消しが認められる判決が出るとは考えにくいのではないか。

しかし、新聞報道のように、認められる可能性があるということで、「名義貸しをしても、うまく言い逃れれば、責任追及を受けない」というへんな考えが蔓延しないか。
特に、販売店サイドに、常連客に名義貸しを頼んでも、口裏を合わせれば、迷惑をかけないで済むから、名義貸しによる違法な資金の詐取を助長する、誤ったメッセージを発信することにならないかが、心配である。

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2016年11月22日 (火)

平成28年(第11回)貸金業務主任者資格試験回答速報

久しぶりのブログです。
11月20日に平成28年度(第11回)の貸金主任者試験が行われましたが、回答速報を望むほんの一部?の方のリクエストで久しぶりに書きます。現在、結構忙しいです。そんな中、昨日回答を考えてみました。
今年で11回、毎回回答を作っている私としては、昨年あたりから、少しやさしくなった問題が見受けられるようになり、「貸付け及び貸付に付随する取引に関する法令及び実務に関すること」の問題に過去問題の類問がちらほら見られるようになって来たかなと感じられます。
ただ、相変わらず、「法及び関係法令に関すること」の出題分野である貸金業法は、施行規則や監督指針からの出題が多く、非常に細かい点が正誤の判断に要する問題が散見されます。
誤っているとわかっている選択肢も、読むせいかもしれませんが、非常に疲れますね。
というわけで、模範解答を掲載します。今年は、合格基準点は何点かな?

                                                                                                                                                                                                       
1 11 21 31 41
2 12 22 32 42
3 13 23 33 43
4 14 24 34 44
5 15 25 35 45
6 16 26 36 46
7 17 27 37 47
8 18 28 38 48
9 19 29 39 49
10 20 30 40 50

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2016年6月27日 (月)

過払い金専門の認定司法書士に降りかかった最高裁判決

とうとう最高裁判所の判断が出ました。
ブログの休眠宣言をしたばかりですが、これは、少し触れていなければ、と休眠宣言の舌の根も乾かないうちに少しばかり、書かせていただきます。

(先日も、割賦販売に関する所有権留保に関する重要な下級審判決が出たので、いずれ、どこかで取り上げる予定です)


認定司法書士が、裁判で取り扱える事件は、簡裁民事訴訟手続きの対象となるもののうち、紛争の目的の価額が民事訴訟法3条1項6号イに定める額(140万円)を超えないとされ、裁判外の和解でも同様とされ(同7項)とされている。
しかし、紛争の目的の価額の解釈については、「個別債権額」説と「経済的利益」説があり、過払い金債権を扱う際に、貸金会社と認定司法書士間に解釈の争いがあり、弁護士も業際問題として問題にしてきた。

経済的利益説は、認定司法書士にとって、個別には債権額が140万円を超えていても、和解による利益(免除等の額など)が140万円以内なら取扱可能となるので、都合が良かった。
しかし、ついに最高裁が、以下のように判示し、個別債権説を取ることが明らかになったのである。http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85969
「債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が法3条1項7号に規定する額(140万円)を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと解するのが相当である。」

経済的利益が140万円を超えなければいいという,認定司法書士の主張は、明確に退けれれている。

明日から、直ちに違法行為となって、たちまち和解交渉ができなくなって、困ってしまう認定司法書士さんが少なからず、存在するのは、確実である。

さらに、本件は、違法な和解行為の対価として受領した報酬返還の返還をみとめたから、受領した報酬額に、法定利率を加えて返還しなければならない。

今まで仄聞したところによると「経済的利益説」で和解を進めてきた認定司法書士がほとんどなので、過去の依頼者が、一斉に返還請求をし始める可能性も考えられるから、こちらのほうが大変だ。

また、経済的利益説で裁判外行為を行うことが違法と判定されたから、司法書士会は、違法な業務をやっていた認定司法書士に対して、どういう対応にでるのだろうか?

そういえば、認定司法書士に対抗意識を燃やしていた某弁護士法人は、どういう対応にでるのだろうか

また、依頼者等から懲戒請求が出たら、法務省は、どうするのだろう。

いずれにしろ、違法な和解行為がなかったか、すぐに精査し、報酬を返還することを検討しなければ、今後の業務にも支障が出るのは確実だろう。

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2016年6月 7日 (火)

品川のよっちゃんは、しばらく留守にします。その間『判例で学ぶ よっちゃんのクレジット法務講話』に連載中です。

ずいぶんとご無沙汰しております。約半年も更新ができておりませんで申し訳ありません。
この半年間公私共にさまざまな執筆・研究発表などに追われ、また海外にも3回調査目的などでで出かけたりして、その合間に鉄道旅行もしなければならず(笑)、結構多忙な毎日をおくっていました。

最近のテーマは、来年施行される改正個人情報保護法関係と2015年日本再興戦略でも課題となっているキャッシュレス化の実現とセキュリティの整備関係です。
いろいろ、ブログで書きたいこともあるのですが、調査結果のとりまとめ、学会発表準備などが先で、ブログは後回しになっています。
したがって、しばらくブログのほうはお休みしたいと思います。

なお、ご存知の方もあるかと思いますが、4月からきんざい発行の月刊誌『消費者信用』に、「判例で学ぶ よっちゃんのクレジット法務講話」の連載を始めました。

今までも、いろいろな判例を取り上げ、その解釈や射程範囲を論じたり、法改正の必要性とその程度などを意見したりしていましたが、改めて、クレジットシステムの発展・進化に伴って、クレジット・クレジットカード、カードキャッシングの実務において過去どのような問題が発生し、どのような解決がなされて来たのかを整理しようとするものです。
判例は、その後関連法でルール化されたものや監督上の基本的な視点になったものもあれば、自主的な改善取り組み、自社のルールなどに組み込まれたり、商品設計の参考になったりするなど、それぞれ重要な役割を果たしていますが、その背景となった事情や時代背景・環境などに大きく影響されています。これらの事情を知ることは、単なる判例の表面的な理解だけでなく、将来の予測や事故の未然防止にも有用な本質的な理解につながると考えられます。
そして、これらの判例とその後の対応により、現在の法律や商品設計や取扱実務・債権管理の実務にどう反映されているのか確認し、現状も残る問題点や課題は何かを明らかにすることを試みることとしました。
どれだけ、この思いが実現できるかわかりませんが、今後の実務のあり方、商品の企画立案、ひいてはキャッシュレス化の一層の実現のための課題の解決のための参考になれば幸いと思っております。

現在以下のテーマで『月刊消費者信用』(金融財政事情研究会発行)で執筆しております。

2016年4月号 『放置された所有権留保自動車の撤去義務』

2016年5月号 『親のクレジットカードの無断使用と会員の責任』

2016年6月号 『盗まれたカードでの借り入れにおける契約者の責任』

2016年7月号 『信販会社の保証する銀行の目的ローンと抗弁権』(予定)

ご一読、よろしくお願いします。


 

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2015年12月16日 (水)

過払い金返還請求権につき時効の到来しているときに、第二取引における未払金請求債務と相殺できるとした最高裁判例

平成27年12月14日最高裁第一小法廷にて、不当利得返還請求本訴、貸金請求反訴事件の判決にちょっと注目。⇒ 判決

貸金業者から平成8年6月5日から平成21年11月24日まで借りていた人が原告であり、原告は、平成8年6月5日から借入れと返済を繰り返し、平成12年7月17日までで一旦完済(これを「第一取引」という)し、その後、平成14年4月15日から平成21年111月14日まで借入れと返済を繰り返していた(これを「第二取引」という)。

第一の取引と第二の取引を一連の取引として通算して、利息制限法の許容する利息で引きなおし計算すると、第一の取引に過払い金が発生していて、第二取引は、約定では、未払い残金があったが、過払い金が発生するとして、原告が返還請求を起こした。

これに対して、被告貸金業者は、第一取引は時効消滅を主張し、第二取引の引きなおし計算後の請求を反訴したのがこの事件です。

原審では、
被告貸金業者の第一取引は時効により、消滅したとしてその主張認められ、原告の「一連計算が認められず、第二取引において未払い額が発生するときは、第一取引における過払い金返還請求権を自働債権として相殺する」との抗弁は退けられています。

その背景として、民事訴訟法142条の重複起訴の規定の存在があったものと考えられます。

しかし、最高裁は、
民事訴訟法142条の重複起訴の規定は、第一取引の返還請求権が消滅時効により、消滅したと判断されることを条件として、反訴でその消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張するときは、抵触しないとして、第一取引の過払い金請求権について、民法508条の規定どおり、時効により消滅していても、時効で消滅する前に相殺適状となっている範囲内で、自働債権として相殺を認めるべきであるとして、相殺の抗弁を認めなかった高裁に差し戻したものです。

第一取引と第二取引とが、1年9ヶ月近く断絶しており、原審は、「一連計算」を認めていませんが、このあたりは、ほぼ定着?しているのかなと思われます。
貸金業者としては、原審の判断が最も望ましいものではありますが、一連計算が安易に認められない点でも、相当な有利になります。

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2015年11月17日 (火)

第10回貸金業務取扱主任者試験を振り返って

11月15日に行われた貸金業務取扱主任者資格試験は、もう10回目になるのですね。
今回も遅ればせながら、このブログで毎年続けている正答を下記に掲載しておきます。
参考にしてみてください。

今回の問題は、全般的に民法の問題が条文に近い形で出題され、代理の問題を除いて、短時間で回答できたのではないかと思います。

また、貸金業法の問題では、出題に過去も何回か出題された問題が多くなり、過去問をきちんと勉強した人にとっては、全体に易しかったのではないかと思います。
とくに、「不適切」な選択肢を選択する出題は、誤りが明確な問題も多かったように思うので、そう思うのかかもしれません。
しかし、全体を正確に覚えていない人にとっては、「債権者」と「債務者」の違いなど、一字しか異ならないのを見逃すなどして、「引っ掛かった」と感じる人もいるのではと思われます。

そこで今回の合格基準正答数ですが、今年こそ31問ではないかと思います。

今年はやさしかったので、通常なら、32問くらいが基準点になると思います。なぜ、それより以下を予想しているかというと、再受験者がどうもたくさんいるという点を考えてみました。
各社とも、新規の受験者とほぼ同数の過去受験者がいるようなのです。

数社の実績をもとに、傾向をざっくりと(本当にざっくりです。念のため)分析すると新規受験者は、30問で合格率40~45%前後、再受験者を10~15%前後の合格率のようです。
また、今回約1万人の受験者の半分が新規受験者として当てはめてみると、新規受験者は2000~2250人の合格、再受験者は500~750人合格となり、合計で2500~3000人が合格となるわけです。
そうすると、合格率は、25~30%となります。これが毎年の傾向でしょう。

合格率25%を前提とすると、少し今回はやさしかったので、今までの基準点で見ると30%を超える可能性があります。そこで、25%前後を合格とするなら、31問を基準にするのではないかと考えたわけです。

でも、前回の第9回試験のときも(⇒こちら)、やさしかったから、「32問が安全圏で31問を基準正答数と予想し、30問は微妙」としたところ、実際は、30問が基準正答数でした。
まあ、結局今回も同じかなあと思います。  

ところで、上記にも書いたように、各社とも、再受験者対策が悩みの種のようです。
受験指導をしている者として考えるのは、受験者が個別にどの分野ができていないのか、どのくらいの点数が取れているのか、を見て、個別指導するしかないのではないかと思っています。
その点で協会のユニークな開示制度を利用することをお勧めします。
これによれば、一人一人の点数と順位のほかに、、どの問題を間違ったかがわかりますので、理解不足の点を集中的にレクチャーすることができます。
現在有料ですが、来年4月から無料になる予定のようです。⇒ 協会HP

開示請求によって得た情報を分析し、不得意分野ごとに勉強会や研修を行うことが考えられます。      
では、私の回答速報をどうぞ。(速報性には欠けるかな?)                                                             

問題 正解 問題 正解
1 26
2 27
3 28
4 29
5 30
6 31
7 32
8 33
9 34
10 35
11 36
12 37
13 38
14 39
15 40
16 41
17 42
18 43
19 44
20 45
21 46
22 47
23 48
24 49
25 50

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2015年9月16日 (水)

平成27年9月15日最高裁判決を検討する。

久しぶりに過払い金に関する重要な最高裁判決が出された。

  ⇒ 最高裁平成27年9月15日判決要旨。 

NHKのニュースなどによると、過去に調停で一旦債務整理したあとでも、あとで過払い金があることがわかっても、取り戻せますよ、的なトーンになっている。

このままだと、毎日見聞きするテレビとラジオの特定法律事務所、特定司法書士事務所のコマーシャルの聞き飽きたナレーションが、来週辺りから変更になるのではないかと思われる判決である。

 

しかし、判決を見ると、適用ケースはきわめて限定されるものではないかと考えられる。

以下、最高裁判決に従って検討してみよう。

 

事案は、昭和62年から平成14年4月1日まで、上告人に吸収合併された貸金業者ABとの継続的金銭消費貸借契約に基づき、利息制限法を超過する利息の契約の元で、金銭を借り入れては、返済してきた顧客が特定調停を申し立てた結果、特定調停が成立して、残債務があるとして、その残高の確認と、支払約束、清算条項を定めた調停が成立したが、取引全体としては、調停時点で過払い金が発生していたことから、この調停を無効として、過払い金の返還と民法704条所定の利息の支払いを求めたものである。

 

ここで、留意すべきは、

本件確認条項において確認された被上告人のAに対する残債務額は,本件調停の調停調書の「申立ての表示」欄に記載された借受け及びこれに対する返済を利息制限法所定の制限利率に引き直して計算した残元利金の合計額を超えないものであった。もっとも,A取引全体の借受け及び返済を同法所定の制限利率に引き直して計算すると,本件調停が成立した時点で,過払金234万9614円及び法定利息2万7621円が発生していた。

 

という点である。

つまり、特定調停では、被上告人は、貸金業者Aに対して、

「申立人と相手方との間の平成10年3月11日締結の金銭消費貸借契約に基づいて,申立人が相手方より同日から平成14年3月20日までの間に18回にわたって借り受けた合計金207万8322円の残債務額の確定と債務支払方法の協定を求める申立て」

をしたのであって、実際にAと取引した「昭和62年から平成14年4月1日まで」のすべての取引が対象となっていなかったのである。

 

従って、調停条項では、借受金が元利合計金44万4467円であることを認め(「確認条項」)、これを23回の分割払いで支払うこと、「本件に関し、本調停条項に定めるほか、被上告人とAとの間にはなんらの債権債務がないことを相互に確認する」(「清算条項」)との内容が定められている。

 

このような特定調停に基づく、調停が成立していたのであるが、A取引全体の借受け及び返済を同法所定の制限利率に引き直して計算すると,本件調停が成立した時点で,過払金234万9614円及び法定利息2万7621円が発生していた。」のであって、原審では、過払い金があるにもかかわらず、残債務があるとした調停内容は利息制限法に違反するものとして公序良俗に違反し、無効であるとし、清算条項についても公序良俗違反を理由として無効として、過払い金返還請求を認めていた。

 

最高裁第三小法廷では、原審が「特定調停は公序良俗に反し、無効である」との判断を退け、「本件調停における調停の目的は,A取引のうち特定の期間内に被上告人がAから借り受けた借受金等の債務であると文言上明記され,本件調停の調停条項である本件確認条項及び本件清算条項も,上記調停の目的を前提」となっており、その限りにおいて「本件確認条項は,上記借受金等の残債務として,上記特定の期間内の借受け及びこれに対する返済を利息制限法所定の制限利率に引き直して計算した残元利金を超えない金額の支払義務を確認する内容のものであって,それ自体が同法に違反するものとはいえない。」として無効とはしなかった。また、清算条項についても、無効とは扱わず、「取引全体によって生ずる被上告人のAに対する過払金返還請求権等の債権を特に対象とする旨の文言はないから,これによって同債権が消滅等するとはいえない」とした。

 

つまり、簡単にいうと、原審は、特定調停が公序良俗違反だから無効として、改めて過払い金の返還請求を認めたが、最高裁は、特定調停の調停条項の効力はある、しかし、それは、あくまでもA取引の特定期間に関する調停条項であって、A取引全体に及んでいないので、A取引の全体を対象とする本件過払い金返還請求に対する効力は認められず、過払い金の請求に制約はないとして、過払い金請求を認めたのである。

 

結論的には、過払い金返還請求が認められており、救済に差がないように見えるが、貸金業者にとって、この差は大きい。

 

第一に、既に特定調停や通常の調停において、過払い金請求権を有する顧客と当該貸金業者間で当該当事者同士の特定の期間を対象にした調停が成立している場合において、手続きが金銭債務の有無やその内容の確定等を行うことを当然には予定しておらず、全体として利息制限法を超過しない額の支払いにとどまる限りは、これが無効とはならないと最高裁が考えていることが明確になったことである。

 

従って、例えば、長期間の継続的金銭消費貸借取引があったが、約定弁済が完了するなどして一時期取引に中断があり、その後取引が再開された場合で、中断後の取引全体を対象にした特定調停、調停、和解などが行われ、当該期間を対象とした引き直し計算に基づく残債の確認と支払い条項が定められれば、それは有効ということである。

 

第二点目は、清算条項についてである。

最高裁判決は、「本件清算条項に,A取引全体によって生ずる被上告人のAに対する過払金返還請求権等の債権を特に対象とする旨の文言はないから,これによって同債権が消滅等するとはいえない。」としている点に注目したい。

 

特定調停条項には、「被上告人とAは,本件に関し,本件調停の調停条項に定めるほか,被上告人とAとの間には何らの債権債務のないことを相互に確認する」との確認条項が定められていた。

これが、もし「被上告人とAは,本件調停の調停条項に定めるほか,Aとの取引全体によって生ずる被上告人のAに対する過払金返還請求権等の債権を含め、被上告人とAとの間には何らの債権債務のないことを相互に確認する」との確認条項であったならばどうであっただろう。

 

上記の例のように継続的取引が中断し、中断後の取引のみを対象とした調停・和解条項において「取引全体によって生ずる顧客の貸金業者対する過払金返還請求権等を含め、一切の債権債務のないことの確認」条項は、無効とされる可能性はきわめて低いのではないかと考えられる。
(追記:このように考えるのは、同一の継続的金銭消費貸借契約ではあるが、中断前の継続的な借り入れと返済による完済があって、当時発生した過払い金返還請求権を行使することなく、一定期間の空白期間後に新たに借り入れを行う場合、中断後のあらたな一連の借り入れが「過払い金充当合意」のある借入といえるか、判断が分かれていることにある)

 

今後、本最高裁判決を元に、新たな掘り起しが始まる可能性が高いが、ケースごとに本判決の射程か否かを検討していく必要がある。

 

 

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2015年2月17日 (火)

多数当事者型クレジットカード取引における加盟店調査義務の主体

本日産業構造審議会商務流通情報分科会の第8回割賦販売小委員会が開催された。昨年末の第7回会議で取りまとめた「中間的な論点整理」についてパブリックコメント手続きをとって、最初の開催である。

パブコメとして出された意見は、143名(個人81名、法人・団体62社)で井件数は391件とかなり多かった。パブコメによる「中間的な論点整理」の修正は行われず、これらの意見を踏まえて今後の議論が再開された。

本日のメインテーマは、表題のとおり、誰が加盟店調査に責任を持つ主体とし、どのような義務を課すのかということであった。

事務局からは、

A案として、加盟店への実質的な影響力という観点から、アクワイアラーとPSPに区別を設けず、「加盟店に立替金を交付する者」について登録義務を課し、加盟店調査等の義務主体と位置づける。

B案として、国際ブランドからライセンスの供与を受けたアクワイアラーに登録制を導入し、加盟店調査等の義務主体と位置づけるとともに、PSP等のうち加盟店の調査是正を行う能力のある者をアクワイアラーが有効活用できるよう、「加盟店業務代行者」として任意的登録制を導入する。

の二つの提案があった。(案の内容を一部省略している点に留意されたし)

この提案に対し、消費者サイドは主にA案賛成であった。今までの議論を踏まえるとそうなるのが、自然かなと思える。何より、加盟店に立替金を交付する者をみな包括的に対象として登録義務を課すので、消費者の苦情を申し出る先が明確になるのであるから。

これに対しては、加盟店に立替金を交付する者には、モール事業者やデパートその他幅広く該当して過剰な規制につながるなどの反対があったのは当然であり、事業者だけでなく、学者などもB案にいろいろな問題点、懸念を示しつつ、(条件付の)賛成が多かったように感じた。任意的な登録制度は、現在も消費者庁が実施しているが、効果がないとの意見もあったが、今回は、カード会社を経由した法的裏づけのある制度なので、消費者庁の制度よりは、いいとは思われる。

しかし、果たしてこれでインターネット取引で、「いわゆるさくらサイトの疑いが強いメール交換サイトや模倣品販売等、違法性が強いないし違法性のある取引」(「中間的論点整理」7P)を行う加盟店を排除することができるのであろうか?自信を持って、NOといえる。

2名の委員からも、詳細な対案ではないが、C案を検討すべきとの意見が出されたが、私もこれに(具体的なC案が提示されてはいないが)賛成である。

なぜ、AB両案が問題解決に資することがないかというと、排除されるべき悪質加盟店からみた視点と利用者から見た視点で、まったく機能しないからである。

まず、「違法性が強いないし違法性のある取引」を行う者が、国内事業者に限定して考えられている点に問題がある。海外から日本のリテラシイーの低い消費者向けに「違法性が強いないし違法性のある取引」で設けようという事業者には、A案では、登録という形で捕捉することはできない。B案でも、海外のアクワイアラーに、チャージバック以外の事由で、日本の会員向けのみを別途管理を要請することは、無理であろう。

国内の悪質業者も、そうなれば、海外に拠点を移し、またはペーパーカンパニーなどを経由して海外のアクワイアラーと提携することが、今以上に増えてしまうことは想像に難くない。そうすると、現在国内アクワイアラーで対応できていたことまで対応できなくなるのではないか。

次に、利用者の問題である。利用者は、カードが利用できるかどうかは、現在は国際ブランドのマークの有無のみにより判定しており、アクワイアラーが誰かについての注意をする必要はない。それ以上に、決済代行業者(PSP)については、さらに無関心である。要は、自分が代金決済義務を負う販売店で、自分が保有するカードが使用できて決済が完了するかどうかのみが関心事なのである。

このような顧客は、カードが使えなければ、コンビニ収納や銀行振り込みを選択するし、第引きを利用することもあるであろう。何がいいたいかといえば、仮に、加盟店調査義務を有する主体が拡大したとしても、「違法性が強いないし違法性のある取引」の決済は、ほかの決済手段に移るしかないのではないかということである。

カード取引から、「違法性が強いないし違法性のある取引」を排除したとしても、リテラシーの低い消費者は、他の手段でその取引をやってしまうのではないか。例は適当ではないかもしれないが、「振り込め詐欺」と比較してみよう。その名のとおり、「振り込め詐欺」は、相手方から銀行振り込みという送金手段を利用して、現金を詐取していた。しかし、官民上げたの取り組み、銀行の協力で「振込み」を使った詐取は激減している。2014年の警察庁の発表では、「振込み型」は、107億円(前年比-億円)だが、レターパックや宅配便を使う「送付型」は、221億円(+88億円)、「手渡し型」が236億円(-6億円)と、既に他の方法が4.5倍にも上っているのである。

つまり、根本的原因は、消費者をだます悪いやつらがいることであり、その最大の対策は、消費者が「だまされないようにすること」「うそを見抜くこと」ではないのか。

インターネット取引で、「いわゆるさくらサイトの疑いが強いメール交換サイトや模倣品販売等、違法性が強いないし違法性のある取引」が、正常な取引にまぎれているのかもしれないが、通常のリテラシーがあれば、見ず知らずの人から、いきなり「あってください」「お金差し上げます」「私は、有名タレントのマネージャーです」などという文面からしておかしいと感じるでしょう。また、有名ブランド品をアウトレットでも売っていないような割引価格で販売するわけがない、怪しいと思うでしょう。

このような最低限のリテラシーを教育することこそが、根本的、かつ、最高の効果のある対策になるのではないか。

私のC案は、カード会員の教育の徹底である。被害にあっている会員は、インターネット取引で、「いわゆるさくらサイトの疑いが強いメール交換サイトや模倣品販売等、違法性が強いないし違法性のある取引」をしているのだから、インターネット環境がある。

したがって、カード更新時などに、Eラーニングシステムを利用した「カード教育」(動画を使ったカードの利用法、会員規約の説明、利用上の注意などを教え、その後理解度測定をおこなうなど)を行い、きちんと理解したものに、カードを交付する(カードをアクティブにする)くらいやってもいいのではないか。また、カードを紛失した後の再発行時などは、改めての注意喚起の動画やカード保有者の責任についてのチェックを受けることを義務つけることなどが考えられる。

コストはかかるが、官庁の予算をつけ、カード会社と消費者団体が一緒になって取り組むべきことではないのか。

もちろん、カードを持つ前の、中学生、高校生のころからの消費者教育、カード利用教育、インターネット利用教育も、組み合わせる必要があるが。

2015年2月22日追記

今回のA案、B案は、加盟店調査義務の主体、すなわちどこまで法規制に取り込むべきかの案であり、どう規制するかは、まだ一部しか出されていないので今の時点で違いについてのコメントとしては、いかがなものかとのご意見もいただきました。

確かにその通りです。ただ、少なくとも、A案は、よほどうまく切り出さない限り、その規制が問題がない業者にも及びつつ、課題であるネット取引の面では、ボーダーレスなので、効果が及ばないことが考えられます。そこをアクワイアラーへの規制を行いつつ、国際ブランドの協力を取り付けることで対応することが予想されるB案があるわけですが、我が国のカード会社が、国際ブランドに対して一定の力(理事等)を持っていた昔ならいざ知らず、アジア内での地位が低下している現在、どう対応してくれるのか、疑問があるところです。

問題となっているのは、ボーダーレス取引が中心ですから、アジア統括の国際ブランドとそのアクワイアラーの協力が必要だからです。

しかし、我が国のクレジット市場は、「消費者信用統計の大幅修正ショック」で10兆円以上の市場が幻だったことも判明しており、アジア各国から見たらどうなのでしょう。詐欺。商品未納など、チャージバックで解決できる部分はともかく、苦情の内容を理解してもらえるでしょうか。

また、今後は、急速に国際ブランドとしての地位を高め、すでにJCBの数倍の規模になっている銀聯のことも考慮を入れないといけません。銀聯ブランドの日本国内でのカード発行は、すでに中国銀行東京支店、中国工商銀行だけでなく、我が国カード会社数社が行っており、今後の拡大予想されますので、仮にvisa masterから一定の協力が得られたとしても、銀聯の協力が得られなければ、いずれ同じ問題が生じるのではないではないか。

など、いろいろ考えてしまいます。改めて、ボーダーレス取引にも実効性のある案を検討する必要があります。

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2014年4月 1日 (火)

もう一つの平成26年3月28日最高裁判決~「詐欺罪にいう人を欺く行為」について

3月30日に、「詐欺罪に言う人を欺く行為」についての平成26年3月28日最高裁判決を取り上げたが、今日になって、同日に言い渡されたもう1件の判決がアップされた。⇒こちら

すでに、内容は新聞等で概略わかっていたが、先般の記事とは反対に暴力団関係者のゴルフ場の利用申込みが、「詐欺罪にいう人を欺く行為」と認定され、有罪になっている。

暴力団員と認定され、暴力団お断りを表明しているゴルフ場で、暴力団員ということを隠して、ゴルフ場の利用契約を締結して、ゴルフをしたことは全く同じであるが、有罪・無罪と結論が分かれている。

しかし、有罪となった本件では、ゴルフ場の利用約款で暴力団員の利用を禁止するだけでなく、先日の記事の事件と異なり、暴力団員を誘った会員に対して「入会の際には「暴力団または暴力団員との交友関係がありますか」という項目を含むアンケートへの回答を求めるとともに,「私は,暴力団等とは一切関係ありません。また,暴力団関係者等を同伴・紹介して貴倶楽部に迷惑をお掛けするようなことはいたしません」と記載された誓約書に署名押印させた上,提出させていた」点が大きく異なる。

しかも、誘われた暴力団員も利用を断られる可能性があることを認識していたことが認定されている。

また、暴力団員を同伴した会員は、その発覚をおそれ「自分については,「ご署名簿(メンバー)」に自ら署名しながら,被告人ら同伴者5名については,事前予約の際に本件ゴルフ倶楽部で用意していた「予約承り書」の「組合せ表」欄に,「△△」「○○○○」「××○○××」などと氏又は名を交錯させるなどして乱雑に書き込んだ上,これを同倶楽部従業員に渡して「ご署名簿」への代署を依頼するという異例な方法をとり,被告人がフロントに赴き署名をしないで済むようにし」ているようだ。

このようにして、会員が同伴する被告人が暴力団員でないと信じさせて、ゴルフ場に利用を承諾させている。

このゴルフ場では、「ゴルフ場利用約款で暴力団員の入場及び施設利用
を禁止する旨規定し,入会審査に当たり上記のとおり暴力団関係者を同伴,紹介しない旨誓約させるなどの方策を講じていたほか,長野県防犯協議会事務局から提供される他の加盟ゴルフ場による暴力団排除情報をデータベース化した上,予約時又は受付時に利用客の氏名がそのデータベースに登録されていないか確認するなどして暴力団関係者の利用を未然に防いでいたところ,本件においても,被告人が暴力団員であることが分かれば,その施設利用に応じることはなかった。」として、最高裁は、「入会の際に暴力団関係者の同伴,紹介をしない旨誓約していた本件ゴルフ倶楽部の会員であるAが同伴者の施設利用を申し込むこと自体,その同伴者が暴力団関係者でないことを保証する旨の意思を表している上,利用客が暴力団関係者かどうかは,本件ゴルフ倶楽部の従業員において施設利用の許否の判断の基礎となる重要な事項であるから,同伴者が暴力団関係者であるのにこれを申告せずに施設利用を申し込む行為は,その同伴者が暴力団関係者でないことを従業員に誤信させようとするものであり,詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず,これによって施設利用契約を成立させ,Aと意を通じた被告人において施設利用をした行為が刑法246条2項の詐欺罪を構成することは明らかである。」として詐欺罪の成立を認めている。

「詐欺罪にいう人を欺く行為」という刑事事件としての判断とはいえ、前回の記事で指摘したように、暴力団員が、自分が利用契約が締結できない可能性があることを認識させるために、契約締結の当事者として、相手方に暴力団員でないことや暴力団員である者を同伴または紹介しない誓約までを要求している。

2つの判決が同時に出されたことで、詐欺罪として訴追できるケースは明確になったと思う。企業としての警察への協力の判断基準としては、よい。

今後は、反社データベースに基づく定期的な「事後チェック」によって、暴力団員と判明した場合の「事後対応」でどう対応すべきかの問題が残る。

さて、対応方針の見直し、設定において、どう対応すると規定すべきだろう。

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