カテゴリー「読書感想など」の4件の記事

2012年2月17日 (金)

「ある日突然出向」から「地方再生」にかかわるまで「鉄道技術者白井昭」

ある日突然、経営危機のローカル鉄道に出向を命じられる。最後の生き残り策は、未来とは一八〇度逆の、蒸気機関車の動態保存だった…。保存鉄道への再生で鉄道を守った男の仕事は、いつか地域の再生にまで及んだ。

知人の作者の自信作。乗り鉄の私としては、読むべき本。明日の大阪行きの新幹線で読みます。みなさんもぜひ読んでみてください。

追記 2月24日

読んでみると鉄道技術者白井昭さんの「未来が見える電車」をつくる仕事は、名古屋鉄道中興の祖といわれる「土川元夫」との出会いが始まり。そして共同作業ともいえる。

土川氏は、元東海銀行常務、元セントラルファイナンス社長、現セディナ会長である土川立夫氏の父上である。能力主義で名古屋鉄道の基礎を作り上げた土川元夫名鉄社長の経営の取り組みが今日参考になる。

ところでこの本は、鉄道を扱っているが、いわゆる鉄道本ではない。

鉄道とともに生きた技術者が、その鉄道を活かすことを考え抜いた結果、地域や沿線の足を確保しつつ、鉄道の動態保存という目から鱗の鉄道の再生を成し遂げた。

それが結果として地域再生につながっている。新幹線の開通や高速道路の開通により、地方都市はストローのように中心都市に仕事や住民を吸い取られている。そして疲弊し、過疎の町になっているところもある。

しかし、主人公の白井氏は、ローカル鉄道を蒸気機関車の動態保存で生き残りに導き、そして地域も再生させていった。この本は、「地方生き残りの方策」を示す指南書の一つといえる。

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2007年8月12日 (日)

「反転」を読み終えて

なかなか読み応えがあった。

なぜ田中森一弁護士がこれだけたくさんの仕手株、地上屋、暴力団などの顧問弁護士をやっているのか、事件になったものが多いだけにやはり不思議ではある。
本人は、戦後社会を行き抜いてきた人物の当該分野での能力の高さや人間的魅力とともに、反社会的人物を更正させようという意欲、そして自分の思い上がりや弱さをあげている。
本人からはそうかもしれないが、やり手だった特捜時代の手腕を頼る必要のある弱みを持った人間が多かったこと、安倍晋太郎の清和会の顧問弁護士であったこと、実際の弁護士手腕があったことことから、評判を呼んで、「類が類を呼ぶ」状態だったのではなかろうか。

弁護士になった時期がバブルの絶頂期で、金銭感覚が麻痺し、少年時代の苦労とのギャップも原因のような気もする。
(それにしても、各関係者の接待、プレゼントはすさまじいものがある。これが本人の過信につながったようである)

原因はともかく、本人が「エスタブリッシュメントとアウトローが見えない部分で絡み合い、動いている」と書いていることが興味深い。
その絡み合いにの渦の中にいたのが田中森一弁護士と思っていたが、彼とて、一部しか見えていない「ブラックホール」状態という。

最後のほうで、検察が権力維持の表舞台に出てきていることの危惧を示唆しているが、本人の思いを差し引いても、最近の検察OBの重用とともに、朝鮮総連詐欺事件における検察の対応を見ると意味深でもある。

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2007年8月11日 (土)

田中森一「反転」前半を読んで

元東京特捜部検事で、石橋産業巨額手形詐欺事件で有罪判決を受けた田中森一弁護士の「闇社会の守護神と呼ばれて 反転」(幻冬社)の前半5章(p204)まで読んだ。

田中弁護士の名は、いわゆる企業情報誌のなかで10年位前から何度も見かけていただけに、「金のためなら何でもする弁護士」いわゆる「ヤメ検」、「やくざの味方」等のイメージを持っていた。

しかし、冒頭の生い立ちの部分で貧乏な中で、母に励まされて勉強に打ち込み、定時制高校に進学するまでの部分は、私が隣の市に育ち、同じ高校の分校(猷興館高校津吉分校。私は、猷興館から独立した普通高校)出身という環境も影響があるのか、感動的でさえもあった。
その後は、掃除を条件に予備校に入り、岡山大学に入って一発で司法試験に合格するまでの「貧乏から抜け出す」という目的とその間の予備校校長の援助、同室警察官の好意、大学同級生と糟糠の妻の援助など多数の人のフォローにより、検事になる話である。
これらの経験、環境が貧乏や差別を受けた人の声を聞ける検事として、取調べ方法は荒っぽいが成果を挙げ、大阪地検特捜部から東京地検特捜部にいき、数々の事件を担当し、相当の実績を上げるが「つぶされる事件」も経験し、これがやめるきっかけだったようだ。

相当イメージが違う。
本人の執筆であるから、いくらか正当化されているのかもしれないが、その怒りは、何人か知っている特捜部出身の人と共通のようである。

何より、東京地裁特捜部が法務省キャリアの赤レンガ組と現場たたき上げ組みがあると知っていたが、「閨閥組」があるとは知らなかった。

これから後半を読むが正義感の塊のように思える検事田中森一が、何をきっかけに変わるのか、本当は変わっていないのか 後半が楽しみだ。

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2007年7月15日 (日)

「サラ金崩壊」

平成18年12月に成立した貸金業規正法の改正法案がどのような経過をたどって成立することになったのか、現役通信社記者の井出壮平氏の取材のもとに振り返ることができる本である。
一気に読める内容なので関心のある向きは、一度読んでほしい。

個人的な感想として、この法案を作るために、関係部署についた官僚と政治家のめぐりあわせの偶然と、日弁連や被害者団体などの執念、そしてマスコミ報道と小選挙区制ゆえの議員心理など複雑な要素が絡み合った結果であり、通常法案のように法案成立をさせる主役がいなかった印象である。
副題の「グレーゾーン金利撤廃をめぐる300日戦争」というのがふさわしい内容である。

法改正に伴う今後の影響は、後2年位後には明確になると思われるが、その結果に対して誰が責任を負うのか明確でないままの法改正には、かなりの不安がある。

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